(※画像はイメージです/PIXTA)

昨今進化が目覚ましいロボット技術やAIですが、人手不足が深刻化する建築業界においても、調査作業などをはじめ導入および研究が進んでいます。本稿では、建築・土木構造物の検査等を行う(株)ジャストの代表・角田賢明氏の著書『改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し詳しく解説します。

ロボット技術の可能性

進化し続ける調査技術において、ロボットの活用も進んでいます。

 

特に屋内ドローン点検は、狭小部分にも進入し、人間がいなくても点検を可能にする技術として注目されています。これにより、従来人間が物理的にアクセスするのが困難だった場所でも、効率的かつ安全にデータを収集することが可能となります。

 

さらにロボットが壁や天井を移動し、調査を行う技術も研究されています。これにより高価で時間がかかる足場を設置することなく、物理的なアクセスが困難な場所でも簡単に調査が行えるようになります。

 

現在は吸盤を利用して壁に吸い付きながら調査するロボットの研究や開発が行われており、さらにアクセスが難しい場所のデータが得られることが期待されています。この技術は私たちも注目し、機械を導入していく予定です。

 

このロボットはクモのように壁や天井に張り付いて移動し調査できるものです。この応用用途として、例えばコンクリート造の橋梁の調査があります。橋は高所にあるうえに、橋の下が海や川であることが多く、足場や高所作業車による調査がとても困難でした。

 

しかし、このロボットだと高所でも吸い付きながら移動でき、特別な設備は何も必要としません。そのため、時間とコストを大幅に小さくできると期待しています。

 

今後、ロボット技術はさらに進化を遂げ、現在人間が行っている調査作業の多くをこれらのロボットが担う時代が到来する日も遠くないと思います。技術の進歩とともに、操作性も向上しており、災害時などにおいてはこれらのロボットが救命のための重要な役割を担う可能性もあります。

 

このように「調査におけるロボット技術の可能性」は、新たな未来を切り拓いていくテーマであると感じています。

構造物調査におけるAI技術の可能性

AI技術、特に生成AIと画像AIの活用は、調査業務の効率化に変革をもたらす可能性があります。

 

生成AI技術の具体的な応用例として、私たちが開発した「タテログ」があります。

 

従来の橋梁点検においては、図面への損傷情報の記入方法は自治体ごとの様式のみならず、点検会社によって書き方に違いがあり、ソフトウェアでの読み取りが困難という課題がありました。そのため手作業で図面から必要な情報を読み取り、報告書に転記しなければならず、非常に手間がかかっていました。

 

それがタテログでは生成AIを用いることにより、損傷情報の意味の微妙な違いや表記揺れをソフトウェアで読み取ることが可能になり、図面情報の読み取りから報告書の作成までを一気通貫に自動で行うことができます。

 

ユーザーは従来の記入方法を変える必要がなくなるので習熟にかかる時間も少なくて済みます。

 

次ページ生成AIが現場で果たす役割とは

※本連載は、角田賢明氏の著書『改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・編集したものです。

改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本

改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本

角田賢明

幻冬舎メディアコンサルティング

高度経済成長期に建設された多くの構造物が築50~70年を迎え、耐用年数の限界に直面するなか、その対策は喫緊の課題となっています。特に橋梁やトンネル、官公庁施設などの社会インフラの老朽化は、我々の生活にも直結すること…

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