「いつまでこのまま…」退職目前の父が悩む“独り立ちしない娘”
前野慎一さん(仮名・64歳)は、退職・年金生活を目前に控える会社員。現在は継続雇用で働いており、退職金の残りは800万円、預貯金などの金融資産は約1,200万円、年収は450万円ほどです。
妻は、かつてパート勤務をしていましたが、自身の父親の介護をきっかけに50歳のときに退職し、現在は専業主婦です。両親を見送った今、夫婦2人での老後を見据えていました。
しかし、1つだけ大きな悩みがありました。それは、35歳の娘・奈美さん(仮名)が独り立ちせず、ずっと実家で暮らしていることです。
そのうち結婚して出ていくだろう、そう思い続けてはや数年。平日は決まった時間に家に戻り、休日は趣味に明け暮れている娘を見ると、変化の兆しは感じられません。
妻に相談しても、「本人が決めることだから」と取り合ってもらえず、気づけば年金生活が目前に。夫婦の年金見込み額は、合計で月22万円ほどです。
娘は、月の手取り15万円から家に2万円を入れていますが、前野さんからすると「食費程度にしかならない」という印象。さらに妻は朝晩の食事だけでなく、お弁当まで用意。娘との外出時には交通費から食事代まで、すべて妻が負担している様子でした。
いつまでもこんな生活でいいわけがない。自分も妻も年金をもらうようになれば、いよいよ年寄りだ。お金だけの問題じゃなく、子育てを終えなければならない。そう思った前野さんは、娘に話をする決意を固めました。
