そろそろ相続対策するか!でも…「分けにくい土地」と1,400万円の相続税問題に直面した70代夫婦が頭を抱えたワケ【相続の専門家が解説】

そろそろ相続対策するか!でも…「分けにくい土地」と1,400万円の相続税問題に直面した70代夫婦が頭を抱えたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅の建て替え、資産の組み替え、そして子どもたちへの公平な遺産分割……。元気なうちにこそ必要な“相続対策”に動き出した深澤さん夫婦のケースから見えてくる、現代の相続事情とは? 相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、今からできる実践的な相続対策のポイントについて解説します。

親から相続した自宅の土地103坪

深澤さんが住んでいるご自宅の土地は親から相続したもので、土地は103坪あります。両親が健在のころに建て増しをして同居してきましたので、相続では同居の特例により、相続税はかからなかったのでした。

 

深澤さんの妻がイングリッシュガーデンが好きで、土地の4割は庭ですので、日々の水やりなどを楽しみに庭を維持しています。

 

近隣は閑静な住宅街で、両隣の区画も同じくらいの広さの土地ですが、少しずつ建て替えが進み、右隣はアパートになり、左隣は2棟に建て替えられています。

 

深澤さんの家も築年数は40年以上となっていますので、そろそろ次の計画をしないといけない状況にあります。

分け方をどうする?

それに合わせて相続を考える年代になってきました。たとえば同居する長男に自宅を相続させると土地建物で8,500万円程。2億円を等分にして2人に相続させるとなると自宅が85%になります。

 

住んでいる人が相続することは無理のない流れではありますが、長女もアパート住まいですから、自分も相続したいと思わなくもありません。このままでは分けにくいことが明白です。姉弟の共有で相続させるとすると、さらに分けにくくなるため、得策ではありません。 

自宅土地の地形が縦長

自宅の土地は103坪もあるので、1戸建ての敷地とすると3区画に分けられるほどの面積があります。横長の地形であれば、2区画や3区画に分けやすいのですが深澤さんの土地は間口が14メートル、奥行きが24メートルという縦長です。そのため、縦割りにする場合は細長い土地が2区画できるとなります。建物を建て替えるときに、現在のように1棟にしてしまうと分けにくくなります。

資産組替のお勧め

1つ目の提案として、賃貸している貸家は築年数が経っていることなどから、売却して維持しやすい区分マンションに買い替えることを提案しました。この提案については、ご夫婦ともに納得されてそのようにしたいと方針はすぐに決まりました。

 

次にご自宅の件。自宅の土地が広く、分けにくいため、自宅を売って、別のところに買い替える資産組替を提案しました。

 

自宅は住み替えるため、その土地を離れますが、将来、2人の子どもに1つずつの不動産を渡せるよう、2つに分けて購入することを提案しました。

 

ご自宅の資産組替については、親から相続して、長年住み慣れた土地なので離れがたいこと、妻の楽しみの庭も少し残していきたいということでした。

 自宅の土地活用

ご夫婦のご希望は、自宅の土地は残していきたいということがわかりましたので、そのためには、自宅を建て替えて、家賃収入も得られる賃貸併用の住宅に建て替えることを提案することにしました。

 

現状のように自宅を建て替えるだけであればシンプルですが、103坪の土地を2人の子どもに分けられるよう、2棟に分けて建てることを想定して、提案するようにします。

 

金融資産もお持ちではありますが、これから20年以上の生活を考えると賃貸事業の収支計画をもとに、建築費は融資を受けることを想定します。

 

土地を縦割りにするのがいいか、手前と奥となる敷地延長の区画にするのかを検討し、住みやすい建物が建てられることなどをもとに比較できるようにします。現在、建築のプランニングをしており、できあがれば再度、提案して、選択してもらうようになります。 

分割が決まれば遺言書の作成

建て替えの方向性が決まれば、土地を分筆し、子どもたちそれぞれに渡せるようになりますので、対策ができたあとは公正証書遺言の作成が必要なこともご提案しています。

 

深澤さんご夫婦も、遺言書があって親の相続のときには非常にスムーズに手続きができたので、自分たちもそのようにしておきたいと言っておられます。

相続対策は70代で

深澤さんご夫婦は70代半ば。相続はまだ先のことというのが現実ですが、「相続対策」を考えると、元気な70代が最適な年代だといえます。

 

たとえば、自宅を建て替えるにしても、荷物の整理、処分が必要ですし、建築中は仮住まいが必要になります。年代があがると片付け自体が大変になり、何もできない状態になります。

 

深澤さんご夫婦もそうした諸々のことを考えると、「今しかない」という思いだそうです。まずは貸家の売却、次に自宅の建て替えという順番で少しずつ取り組んでいただくよう、サポートしていきます。

 


        

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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