税務調査は「任意」と「強制」の2種類…任意調査は断れる?
税務調査にはいくつかの種類に分けることができ、なかには「任意調査」と呼ばれる税務調査もあります。「税務調査は任意で応じてもいいのか」「任意とつくなら絶対じゃないのだろう」と考えてしまいそうですが、実際はどうなのかについて解説していきます。
税務調査の種類
税務調査は「任意調査」と「強制調査」の2種類に大きく分けることができます。
・任意調査
所得税や法人税、消費税や相続税など、納税者の申告内容について正しいか、間違いがないかを確認する調査です。一般的な企業や個人事業主が受ける税務調査のほとんどが任意調査となります。
所轄税務署の税務調査官が調査を行うのが一般的ですが、国税局調査部などが調査を行うケースもあります。調査官には質問検査権があり、納税者には受忍義務があることは上記で解説したとおりです。
任意調査には、事業所や店舗、倉庫などに調査官が直接出向いて行う「実地調査」や、電話書面などによる簡易な接触、税務署へ来てもらって調査する「実地調査以外の調査」などがあります。
・強制調査
国税通則法第11章(犯則事件の調査及び処分)に基づき、国税局査察部によって行われる税務調査です。裁判所から令状も発行され、証拠品の押収なども行われる強い権限のある税務調査となります。
任意調査と強制調査の違い
強制調査が事前の予告なく行われるのに対し、一般的な任意調査では通常、事前に調査を実施する旨の連絡があります。
強制調査では納税者の承諾を得ることなく強制的に調査されるのに対して、任意調査では税務調査の実施から資料の閲覧、提示など、すべて納税者から同意を得たうえで行われる点が異なります。
任意調査のなかでも、現金取引がメインの店舗などにおいて無予告で抜き打ち的に税務調査が実施されることもありますが、その際でも税理士へ連絡するまで待ってもらうことなどは可能です。
任意調査は断れるのか
結論からいうと、納税者が任意調査を拒否することはできません。任意調査は「任意」と呼ばれるため、必ず調査を承諾しなくてもよいように考えたくなりますが、実際には受忍義務により、正当な理由なく任意調査を拒否することはできず、拒否すれば懲罰の対象となってしまいます。
ただし、任意調査を承諾できない正当な理由があれば、調査日時をずらしたり、延期したりすることは可能です。正当な理由としては
・出張などで調査日に面談できない
・重要な商談があり業務を中断できない
・事故や入院などで調査面談が難しい
・代表取締役または経理担当者が不在
・同席予定の税理士の日程を確認したい
などが挙げられます。事前通知で税務調査が実施されることがわかった時点ですぐには承諾せず、日程を確認してから折り返すようにすると調整しやすいでしょう。
税務調査は「税理士のサポート」がカギになる
税務調査の受忍義務とは、納税者が税務調査の拒否や妨害をしてはならないと法律で定められた義務のことです。
ある日突然強制的に実施される強制調査は拒否する間もなく実施されますが、実施に納税者の承諾が必要な任意調査も、受忍義務があるため拒否することはできなくなっています。受忍義務を無視して税務調査に対応しなければ、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
税務調査には協力しつつ、あらぬ疑いをかけられないように対応することが大切です。対応に不安がある場合は税理士のサポートを受けて、税務調査のリスクを最小限に抑えましょう。
松本 崇宏
税理士法人松本 代表税理士
お客様からの税務調査相談実績は累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線からの視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本
税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1,000件以上。一般業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>カメハメハ倶楽部<<

