サービスやブランドが長く愛され続けるために必要なこと
新商品やサービスを企画する際に、流行りのバズワードを取り入れることは賢明な戦略に思える。確かにトレンドに乗ることで、一時的に消費者の注目を集めることはできるのかもしれない。
しかし、表面的な流行を追いかけるだけでは、人々の心理に深く響く共感を得ることは難しい。トレンドはあくまで一過性のものであり、消費者の内面に潜む本質的な欲望に触れない限り、持続的な支持や愛着を引き出すことは基本的に不可能である。
人間の行動を根底で規定しているのは、「他者と比較して自分の価値を確認したい」「自分の優位性を実感したい」「見下されたくない」という欲求だ。これがいわゆる「マウント欲求」と呼ばれるものであり、私たちの行動に見えない形で大きな影響を及ぼしている。
新商品やサービスを創出する際に真に重要なのは、流行りのキーワードに便乗することではなく、この欲求を的確に捉え、消費者が「自分は他者とは違う特別な存在である」と自然に実感できるような体験を丁寧にデザインすることである。
たとえば、SNS上で見られる「映え」や「いいね」を求める行動は、「美しいものを共有したい」という表面的な欲求にとどまらない。その背後には「自分が周囲よりも優れた体験をしていることを誇示したい」という潜在的な感情が見え隠れしている。
豪華なリゾート地への旅行、ハイブランドのファッション、高級レストランでの一皿──これらの投稿はすべて「これだけの体験を手にしている自分は特別な存在だ」という無言のメッセージを発信しているのである。
言い換えれば、「自分の価値を証明することができる体験」が現代の消費行動の中心的な原動力となっている。そして、その体験をどのような形で設計できるかが消費者の行動を大きく左右する決定的な要素となる。
この「マウンティングエクスペリエンス(MX)」をデザインする際に最も重要なのは、こういった消費者心理にどれだけ的確かつ深いレベルで応えられるかという点に尽きるのである。
日常生活にSNSが深く浸透し、消費行動が自己表現や他者との差別化と密接に結びついている現代社会において、企業は流行を追いかけるのではなく、「自分らしさ」を実感できる体験を提供することに全力を注ぐべきである。
現代の消費者は、「顧客」であると同時に「自己表現者」としての顔を持つ。彼ら/彼女らの自己表現欲求を満たし、それを通じて自らの価値を確信できる場を創出することが、サービスやブランドが長く愛され続けるために肝要なのである。
勝木健太
文筆家、実業家、経営コンサルタント
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