従来の消費行動を革新する可能性を秘めた「マウント消費」
「マウント消費」の広がりは、企業にとっても極めて重要な示唆を含んでいる。従来の機能やデザインだけでは、もはや現代の消費者の深層心理を捉えることはできない。求められるのは、「その商品を所有することで、どのように自己を演出できるか」「それを所有することで、他者とどう差別化できるか」といったマウント起点の付加価値を提供することである。
たとえば、単に高機能なスマートフォンを売るのではなく、「これを所有することで、どれほど先進的で洗練されたライフスタイルを体現できるのか」といったストーリーとともに訴えかけることで、消費者の「マウント欲求」を満たしていく。それこそが、現代の消費行動を捉える上で必要不可欠な視点と言えるだろう。
もちろん、「マウント消費」には危うい側面も存在する。他者との比較に過度に囚われてしまうと、消費が「他者に見せるためだけの行動」に陥り、社会全体が大幅に疲弊する恐れがある。この状況が深刻化した場合、適切に規制するための法整備や倫理的な指針の整備が必要となるかもしれない。
しかし、社会全体で節度を保ちながらその欲求を健全な形で満たすことができれば、間違いなく消費者に対して新たな価値を提供することにつながる。「自己表現の手段」として機能する「マウント消費」は、自分自身の存在価値を再確認させ、個性を際立たせるための極めて有効な手段と言える。適切に活用されれば、それは社会に対してこれまでにない活力をもたらす可能性を秘めていると言えるのだ。
現代社会は、モノが飽和し、「コト消費」すらも当たり前になりつつある。物質的な豊かさを追い求める時代はすでに終焉を迎えつつあり、今や「誰も持っていない」「誰も体験していない」という唯一無二の価値が消費行動の新たな基準として台頭してきている。
このような転換の中で、経済は次なるステージへと進化していく。その過程において、「マウント消費」は従来の消費行動を革新し、これまでにない可能性を引き出す画期的なコンセプトとして、ますます注目を集めていくだろう。
勝木健太
文筆家、実業家、経営コンサルタント
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