筆者が半導体関連の深追いに警鐘を鳴らした理由
ジャッジメンタル・アプローチについての説明はこのくらいにして、具体例を紹介したいと思います。2024年6~7月に、半導体関連株が大フィーバーしました。まさに、「半導体関連でなければ株にあらず」といった状況でした。
ディスコ(6146)においては、同年7月11日に6万8,850円まで買われ、年初比2.1倍になったのです。ほかにも爆上げした半導体関連株はいくつかありました。しかし、筆者はその頃(2024年6~7月)、講演会などで「このセクターの深追いは禁物」と警鐘を鳴らしました。なぜでしょうか。それは明らかな過熱がみられたためです。
当時、アメリカの半導体大手のエヌビディア(NVDA)の時価総額が円換算で500兆円を突破しました。そして、「2016年にエヌビディアに100万円投資、それが7,500万円になった」とか、「エヌビディアに300万円を投資したら、1億5,000万円になった」といった投資家の声が聞かれたのです。
そして2024年7月16日、アメリカ市場の時価総額上位7社、別名「壮大なる7社」ともいわれるマグニフィセント・セブンの時価総額は何と2,608兆円に膨らみました。いくら何でもやりすぎです。
これは東証プライム市場(当時1,657社上場)全体の約3倍であり、筆者はいくら何でも、これは「異常」と判断しました。「異常は長く続かない」というのが経済学的な原則です。
また、同じ6~7月頃、証券会社の幹部がこぞって熊本(半導体工場の建設現場)視察に行き、口々に「すばらしい」と称賛していました。さらに、一般投資家向けに熊本視察ツアーが計画され、大人気でした。
これについては、正直な話、遅すぎます。筆者(熊本出身)が熊本の半導体関連の工場フィーバーを取り上げたのは、3~4年前です。
熊本視察ツアーは第1陣、第2陣ともに満員札止めになったらしいのですが、その参加費用は1泊2日の日程で何と19万8,000円(!)とのことでした。いや~、人気とはいえ、すごい金額です。
ご承知のとおり、熊本県菊陽町には世界最大の半導体受託製造企業、TSMC(台湾積体電路製造)が工場を建設しています(第1工場は2024年12月に稼働)。2025年第1四半期には、第2工場の建設も行なわれます。
マスコミはこぞって熊本のフィーバーぶり、熊本バブルを報道していますが、こんな状態は怖いですね。
だからこそ、この高値圏では「手を出すな」と主張したのです。結果はどうでしょうか。AIブームの陰りとともに、半導体関連株は急落しました。株式投資の世界では「遅れた者は悪魔の餌食」になるのです。
もちろん、2025年は本格的に出直るでしょうが、相場だけでなくそれに関係する人々が行き過ぎた行動をしたとき(異常な過熱状態)の投資(新規買い)は禁物です。
杉村 富生
経済評論家
個人投資家応援団長
※本記事は『保存版 株式投資 勝ち方の本質』(すばる舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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