「麦わら帽子は冬に買え」が教えるシーズンストックの季節性
短期投資の王道が強い(上昇トレンド)銘柄を徹底的に攻める、すなわち順張りであるのに対し、長期投資の要諦(ポイント)は逆張りにあります。これは、筆者の長年の持論です。ただし、買い下がりは「よくなる銘柄」にマトを絞らねばなりません。
長期・逆張りの魅力、その手法を見事に言い表した相場格言に、「麦わら帽子は冬に買え」というものがあります。これは、投資経験がある程度長い方なら、誰でも知っているのではないでしょうか。
改めていうまでもありませんが、普通、暑いときに使う麦わら帽子を寒い冬に買う人はいません。しかし、そのような買い手不在のときだからこそ、安く買えるのです。これが逆張りの真骨頂、王道です。
これは、3月決算企業の配当取りにもいえます。配当の権利取りが直前となる3月に入ると、株価はすでに高くなっています。よって、前年の11~12月に仕込むのがポイントです。
季節性が顕著なシーズンストックとしてよく例に出されるのは、エアコン株でしょう。業界の世界的な企業はダイキン工業(6367)ですが、上の表は過去6年(2019~2024年)における真冬(シーズンオフの1月末)と真夏(シーズンインの7月末)の終値を比較したものです。
もちろん、1月末の株価水準、および7月末の気温(猛暑か否か)などによって状況は変わりますが、これを見ると、2019年が1万1,765円→1万3,585円(上昇率15.5%)、2020年が1万5,635円→1万8,450円(同18.0%)、2021年が2万2,105円→2万2,665円(同2.5%)、2023年が2万2,470円→2万8,690円(同27.7%)と値上がりしています。
一方、2022年は2万3,825円→2万3,250円(下落率2.4%)、2024年は2万3,885円→2万1,905円(同8.3%)と値下がりしています。結果的に、過去6年のうち値上がりした年が4回、値下がりした年が2回ありました。
また、日経平均株価との比較でも過去6年のうち4回、騰落率で上回っています。特に、コロナ禍初年の2020年は、日経平均株価が6.4%下落したのに対し、同社株は18.0%と大きく上昇しました。
冬にエアコン株を買って夏に売ればかならず儲かる、というわけではありませんが、先人が残したこの格言は、「安いときに買わなければ儲かりませんよ」と諭しているのです。