2年前に相談に
横山さん(44歳・男性)が相談に来られました。実は横山さんは2年前にも相談に来られていて、相談内容は、子供がいない叔母さん夫婦(父親の妹)のことでした。
叔母さんの配偶者は親から土地を相続しており、350坪あります。その土地に自宅があり、一部は貸地、古いアパートや町工場の空き建物もあり、残りは駐車場という利用形態となっていました。
生活には不自由がない
土地の評価だけでも4億円を超えていましたので、叔母さんの夫が駐車場部分を土地活用することで、1億1,300万円の相続税は半分以下に。配偶者の特例と組み合わせをすれば、納税の負担はなくせることをアドバイスしました。
相談に来られた横山さんが言うには、叔母さん夫婦は親から相続した土地を守ると普段から話していると。しかも、質素な生活をしているため、駐車場などの賃貸収入で固定資産税を払い、生活費も足りていて、何の不自由もなく、相続税の節税など考えていないのではということでした。
1次相続は現金で払えたが…
2年後の昨年、叔母さんの夫が亡くなりましたが、ご相談時と何も変わらない状態ながら、配偶者の税額軽減と自宅の小規模宅地等の特例を組み合わせて、納税は3,000万円となり、現金で納付できました。
不動産は叔母さんが相続したので、2年前の状況とほとんど変わっていません。叔母さんの相続人は兄弟姉妹になりますので、横山さんの父親と叔母さんの下の妹2人となります。すでに1人は他界しており、いとこ2人が代襲相続人となり、合計4人が相続人です。
遺言書がある
叔母さんは自分が相続した不動産は横山さんの父親に渡したいと思っています。住まいが近いこともあり、ずっと頼りにしてきたからです。父親が亡くなっていたら、甥の横山さんに相続させたいという考えです。
そのため、叔母さんは公正証書遺言を作成してくれていますし、他の相続人もそれを承諾しています。
叔母さんは80代。すぐに相続になるとは思えませんが、それでも相続になったら納税をどうするか、シミュレーションをしておきたいというのが横山さんのご相談でした。
父親のほうが年上ですから、叔母さんよりも早く亡くなることは想定内となりますので、横山さんが相続の準備をしておくことが必要となります。
不足分は土地売却で
相続税は1億3,000万円と試算されましたが、叔母さんの預金は3,000万円ほどといいます。
1億円は納税資金が不足するのです。今からでも叔母さんが、土地活用などの節税対策を決断してくれるといいのですが、2年前と考えは変わらず、現状のまま相続を迎えることになりそうです。
そうなると現実的な方法は、相続になってから土地の一部を売却して納税に充てることになります。土地の評価が4億円ですから、4分の1程度を売却することになりそうです。そして残りの土地は最適な活用をするべく、見直しが必要となります。
相続実務士のアドバイス
●できる対策:土地活用をすることが望ましいが、決断できない場合は、売却する土地と残して土地活用する土地を想定しておくと相続になったときにすぐに動き出せます。
●注意ポイント:売却後の土地の活用に困らないような区画割をする。土地活用で収益をあげ、維持して減らさない工夫が必要です。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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