前面道路は「広ければ広いほど」よい
工場・倉庫は、基本的に業務目的で利用され、自動車の活用を想定しているために道路付けの善し悪しが非常に重要になります。
まず、自動車の出し入れのしやすさを考えれば、前面道路は広いに越したことはありません。できれば最低でも6メートルはほしいところです。
また、出入りできる道路の数は、多ければ多いほどベターなのは言うまでもありません。特に、建物の前と後の両面それぞれに道があり、しかもその二つの道路に高低差があるような場合には、"1階"が二つになることから、物件の資産価値が一段と増すことを期待できます。
工場・倉庫は、2階よりも1階のほうが利便性が大きいので、より高い賃料で貸し出すことが可能となるからです。
なお、道路に関して注意を促しておくと、住宅街の場合には、自動車の通行に何らかの制限が課されることがあります。とりわけ、近隣に学校があり通学路として利用されているエリアは、朝、夕の通学時間になると車が出入りできなくなるおそれがあります。また、商店街の場合には、夕方の買い物時間などに、大型車両の通行が禁じられることもあります。
このように、交通制限のあるエリアでは自動車が使いづらくなるので、頻繁に車を利用する業種からは敬遠されるかもしれません。
[図表]高低差のある道路
大きな駐車場を備えていることもアピール材料に
自動車の利用という点に関しては、駐車できるスペースが広いこと、すなわち大きな駐車場を備えていることも強力なアピール材料となります。
しかし、オーナーの中には、駐車場の広さの重要性について意外と無頓着な人もいます。たとえば、「建物の面積が増えれば、より多くの賃料を得ることができる」と考えて、違法に一階部分を増築して床面積を拡張するオーナーが時々見受けられます。
確かに、賃料は「床面積×坪単価」の計算式で求められるので、床面積が広くなれば、それだけ高く貸し出すことが可能となるでしょう。
しかし、その結果、駐車スペースが狭くなれば、「駐車できる自動車の数が少ないのは不便だ」などと思われ、テナントが付きにくくなるおそれがあります。何事もバランスが大事です。いたずらに建物の床面積を大きくすることばかりを考えずに、十分な駐車スペースを確保することも忘れないようにしましょう。
なお、土地の面積が少ないところに工場・倉庫を建てようとすると、駐車スペースを確保することにも限度があるかもしれません。そのような場合には、狭いスペースに一台でも多くの自動車が置けるように、駐車場のレイアウトを変更するなど試みてみましょう。