スペインの飛び抜けた成功事例
日本ではほとんど知られていないと思いますが、ロンドンに本拠地を置くグループ企業・D.ream International は、世界16カ国で14のブランドを展開しています。
元は2012年にトルコで設立されたD.ream(Doğuş Restaurant Entertainment and Management=ドウシュ・レストラン・エンターテインメント&マネジメント)であり、ここは肉料理をメインとするレストランです。のちに同社はスペインのパラグアスグループ(EL PARAGUAS)と提携しました。
このグループには1店舗で月商3億円を超える店もあり、ほかにも日本料理を売り物にする「ZUMA」ブランドも、世界で展開しています。同社のホームページには「ロンドンにオープンして20周年を迎えるZUMAは、日本の伝統的な居酒屋スタイルに洗練されたひねりを加えたカジュアルな飲食店」と紹介されていますが、ここも月商が億単位の店だと聞いています。
パラグアスのように1店舗で月商が3億円にも達するレストランを分析してみると、仮に1カ月に25日営業するとして、単純計算すれば1日の売上は1200万円です。営業時間が夕方6時から深夜12時までなら6時間ですから、時間あたりの売上が200万円です。客単価を1万円としても200人を捌かなければならないというのは飲食店としては厳しいハードルとなります。
ファストフードの店ではなく、1人あたり1万円の勘定をいただくのだとすれば、提供する料理はいうまでもなく、接客にも相当に気を使う必要があるはずです。
ちなみに私がモンスーンカフェの店長を務めていたとき、1カ月の売上は良いときでも8000万円ぐらいでした。このとき抱えていたスタッフは、アルバイトも含めて約120人です。いったいどうすればパラグアスのように店を運営できるのか不思議です。
実はパラグアスグループに、10歳年下の高校の後輩がいました。彼は高校卒業後、料理の専門学校に入り、そこからスペインに渡ってアンダルシアでチョウザメ専門のレストランを開店、ミシュランの一つ星を取ったという凄腕のシェフです。それからパラグアスグループに入り、マドリッドでレストラン「AMAZÓNICO」のプロデュースを任されました。
AMAZÓNICOは2016年夏にオープンした、熱帯料理とラテンアメリカ料理を組み合わせた美食を提案する店であり、ここも月に3億円ぐらいの売上があるそうです。そんな店を運営していくには、何か秘密がありそうです。スペインへは豚の仕入れに出張しているので、そのタイミングに合わせ彼に話を聞かせてもらいました。
