2代目経営者の頭を悩ませる企業変革
現在私の会社は創業者である父が名誉会長に退き、私が代表取締役社長を務めています。
2005年、父の会社に入社してすぐに、この会社のマネジメントは問題が山積していると気づきました。
まず、父が優れた麺職人であり、順調に多店舗展開にも成功していたため、社員から神格化された存在になってしまっていたことです。いわゆるカリスマ状態で、意見をしようなどと考える人は一人もおらず、みんな指令を待ち続けるという受け身の状態だったのですが、ラーメンの味はきちんと保てていたので、基本的に店は繁盛していました。
その状況に私は「すごいチャンスに恵まれた」とある意味感謝していました。お客様にしっかりと価値を認めてもらえるラーメンは確立できているのだから、やり方次第でいくらでも成長することが可能だと考えたからです。
成長するためには、これまでのやり方を変える必要があります。従来の成長曲線とは異なる、非連続的な成長をするためには思いきった改革をしなければなりません。もちろん現状の維持でも、1年に2~3店の新規出店によるスケールアップは可能でした。けれどもそれではジャンプアップは望めません。
といっても私が旗振り役となって、創業者に「成長のためにゼロベースで見直しましょう」などと進言しても「青二才が馬鹿なことを言うな」で終わりです。
そこでまず、コンサルタントの導入を検討しました。これには当然費用が発生します。現状で何か問題があるのならともかく、一応は成長し続けているのに、なぜ余計なお金を使ってコンサルタントなどに頼らなければならないのかと、反論されるのは目に見えています。なので、ここはタレント並みの知名度を持つ著名コンサルタントを引き入れることにしました。
思いきった改革を断行するために、説得する相手が納得するレベルの外部の力に頼ることにしました。そこで引っ張ってきたのが、当時、澤田貴司さんと玉塚元一さんが共同代表を務めていたコンサルティング会社・リヴァンプです。澤田さんといえば、伊藤忠商事時代にセブン‐イレブンの買収を手掛けたあと、ファーストリテイリングに入社して大改革を成し遂げた人です。玉塚さんもファーストリテイリングで一時は代表取締役社長に就任したあとに、澤田さんと企業再生事業を手掛け、リヴァンプを創業しました。
経営者の世界では、この二人を知らない人はまずいません。そんな人にコンサルティングを依頼するとなれば、創業者も「いったい何を教えてくれるのだろう」と期待してくれます。
