元メガバンカー・2代目ラーメン屋が海外進出で〈年商40億円〉に成長「アメリカ人が仕掛けた、ニューヨーカーのRAMENブーム」に奥歯を噛んだ過去

元メガバンカー・2代目ラーメン屋が海外進出で〈年商40億円〉に成長「アメリカ人が仕掛けた、ニューヨーカーのRAMENブーム」に奥歯を噛んだ過去
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界各地で大ブームが起きている、日本食。本記事では、ラーメンの海外進出を手掛け、就任からわずか十数年で年商15億円から40億円へと事業を成長させた(株)麺食の社長・中原誠氏による著書『日本食GLOBALIZATION 日本食の海外進出に挑む外食企業2代目の勝算』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、海外進出を目指す日本の飲食業界の課題について解説します。

RAMENブームの立役者は、外国人

現在、世界各地で日本食ブームが起きています。SUSHI、RAMEN、TEMPURA、YAKITORI……こうした言葉はもはや世界の共通言語になりつつあります。

 

こう聞くと、日本で飲食業に携わる人たちは誇らしく思うかもしれません。しかし、私は複雑な思いを抱いています。なぜならこの世界的な日本食ブームを牽引しているのは日本の飲食業界ではなく、海外の起業家や料理人たちだからです。日本発の文化が世界的に広まる一方で、その中心にいるのは日本の飲食業界ではないのです。

 

ITバブルが崩壊した2000年代前半、ニューヨークでラーメンが密かにブームになりつつありました。2004年、韓国系アメリカ人のデイビッド・チャンがニューヨークに開店した「Momofuku Noodle Bar」は、これまでインスタント(即席)な食べ物だったヌードルをレストランでゆっくり食べる料理として提供し、多くのニューヨーカーたちの心を瞬く間に虜にしていきました。

 

ニューヨークに端を発した米国でのRAMENブームはチャンのMomofuku Noodle Barから始まったといわれ、実際それに追随する形で、今では多くの外国人経営者がRAMENレストランを全米で開いています。 

 

チャンがつけたMomofuku Noodle Barの名前の由来は、日清食品創業者の安藤百福さんへのオマージュといわれています。米国で最初に(インスタント)ラーメンを紹介したのは安藤さんだったのです。

 

チャンはニューヨークで開業する前、日本に滞在していたことがあり、そのときに食べた本場のラーメンと職人の技に感動し、ニューヨークでMomofuku Noodle Barを開きました。MomofukuNoodleBarという店名からも、チャンは日本食をリスペクトしてくれているのが分かります。

 

それでも、ニューヨークで始まった日本食ブームの立役者が日本人ではない──

 

最初にそのことを知ったとき、私はショックを受けました。ラーメンだって寿司だって、日本人が開発した最強のソウルフードだ。何しろ私はラーメン屋の倅だったので、ラーメンがニューヨークで流行っているのに、実はそれを流行らせたのは日本人ではない、というのが単純に悔しかったのです。 

 

理屈ではなく、小さいときから、麺をゆで、スープを作る父親の背中を見て育った私の中で、日本人が作っていないラーメンが、RAMENとして世界で広まっていると知ったこのときから、私には早く日本人として、日本食で世界に打って出なければという思いがありました。

 

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本連載は、2025年4月11日に刊行された中原誠氏の著書『日本食GLOBALIZATION 日本食の海外進出に挑む外食企業2代目の勝算』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集したものです。

日本食GLOBALIZATION

中原 誠

幻冬舎メディアコンサルティング

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