4月から変わる「育休制度」、新給付制度&仕事・育児両立の環境整備が進む一方、給付延長は厳格化も…子育て世代が押さえておきたい重要項目、7つ【社労士が解説】

4月から変わる「育休制度」、新給付制度&仕事・育児両立の環境整備が進む一方、給付延長は厳格化も…子育て世代が押さえておきたい重要項目、7つ【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

令和7年(2025年)4月1日から、育児・介護休業法や育児休業給付制度が大きく変わります。少子化対策を背景とした今回の改正が、子育て世代の働き方にどのような影響を与えるのでしょうか。育児と仕事の両立を目指す子育て世代に向けた主な改正点を見ていきましょう。特定社会保険労務士の山本達矢氏が解説します。

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今回の改正、どのようなメリットが期待できる?

急速に進む少子化問題ですが、令和7年4月の法改正により、子育て世代が仕事と育児を両立しやすくなる環境整備が進みます。

 

とくに残業の免除対象年齢の拡大や子の看護等休暇の用途・対象年齢拡充、テレワークの推進により、より柔軟な働き方が可能になります。また、新設される雇用保険制度の給付金は育児休業取得時の経済的負担を軽減し、男女ともに育児参加を後押しします。

 

一方、給付の延長要件が厳格化されるため、制度の正しい理解と活用が求められます。

 

以下、具体的に見ていきましょう。

①所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

これまでは、3歳未満の子を育てる労働者が会社に請求すれば残業が免除されるという制度が育児介護休業法で定められていましたが、令和7年4月1日の改正により3歳から小学校入学前に拡大されます。

 

「時短勤務までは必要ないが、残業すると保育園のお迎えの時間に間に合わない」といった場合など、育児と仕事の両立が求められるなかで覚えておきたい制度です。

②子の看護休暇の見直し

子どもの病気や健診等でしか使えなかった子の看護休暇も、子の看護「等」休暇として制度が拡充。従来の用途に加えて入学式や卒園式、学級閉鎖なども対象になりました。また、子どもの対象も、小学校入学前から小学3年生までに延長されました。

 

子の看護休暇は有給である会社の割合が3割程度と利用がされにくい休暇でしたが、今回の法改正で利用が進みそうな休暇制度のひとつです。

③育児のためのテレワーク導入の努力義務化

3歳未満の子を養育する労働者に対し、テレワークを選択できるような措置を講ずることが努力義務化されます。

 

コロナ禍で導入が進んだテレワークですが、フローやシステムの導入によりリモートが一般化した企業では、より柔軟な働き方として選択できるようになるかもしれません。

 

ただし、この措置は必須ではないので、すべての企業で利用できるわけではない点に注意が必要です。

④短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加

子どもが3歳までであれば選択できる育児の時短勤務ですが、時短勤務が難しい一部の労働者(交代勤務や専門スキル職等)に対しての代替措置として、これまで会社がフレックスや時差出勤、保育施設等のいずれかを整備しておくものに、今回の改正でテレワークが追加されました。

 

選択肢の幅が広がることで、会社側も自社にあった制度を選択できるようになりました。

⑤4月から創設の新給付金制度「出生後休業支援給付金」

育児休業給付は給与の約67%で、これまで、男性が育児休業を取得する際に慎重になる理由として手取りの減少という点がありました。今年4月1日から創設される「出生後休業支援給付金」では父母ともに14日以上の育児休業を取得したことなどの条件を満たせば、従来の育児休業給付67%に加えて、出生後休業支援給付金13%が上乗せされて、合計80%が支給されるようになります。

 

育児休業中は健康保険料・厚生年金保険料が免除され、そしてこれらの育児休業給付金は非課税である点などから、手取り10割相当となるように改正されます。

 

イクメンという言葉が出てきて久しくなりますが、男性の育児休業取得率はようやく30%を超えたばかり。今回の改正で男性の育児への参加が大きく期待されます。

⑥時短勤務の収入減少をカバーする「育児時短就業給付金」創設

制度利用が5~6割という統計もある育児短時間勤務制度。その大きな要因のひとつには手取り額の減少があります。

 

今年4月からは、一定の条件を満たせば2歳までの育児短時間勤務中に支払われた賃金額の最大10%相当額が支給されるようになります。

⑦一方で、厳格化される育児休業給付も…

SNSで物議を醸した保育園の定員不足問題。その一方で育児休業給付のために保育園の落選狙いがあったことも問題視されていました。

 

これまで保育所等の利用を申し込んだものの、当面入所できないことについて、市区町村の発行する入所保留通知書などにより延長が認められていた育児休業給付ですが、この4月からは入所保留通知書のほか、育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書や市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写しが必要になり、またその記載内容も審査の対象になります。

 

保育園への内定辞退の有無や、合理的な理由なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないことなどが問われるようになります。

経営者側も「仕事と育児が両立できる職場環境」実現を目指そう

今回の制度改正により、出生率向上と女性の就業継続が期待される一方で、企業のコスト増も懸念されるところです。しかし、人手不足解消が喫緊の課題であるいま、就労環境を整えることで人材の定着を促す対策は、長期的には大きなメリットがあるといえます。

 

経営者側も労働者側も上手に制度を利用しながら、仕事と育児が両立できる職場環境を目指してみてはいかがでしょうか。
 

 

山本 達矢
社会保険労務士法人WILL
代表社労士
特定社会保険労務士

 

 

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