近年ではさまざまな意識改革が進み、「ハラスメント」についても毅然とした対応が当たり前となってきました。とはいえ、まだ問題は根深く、なかでも「カスハラ(カスタマー・ハラスメント)が増えつつあります。会社は従業員を守るために、どのような対策を取るべきでしょうか。特定社会保険労務士の山本達矢氏が解説します。
富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
〈ゴールドオンライン新書〉が登場!
セクハラよりも、パワハラよりも増加傾向にある「カスハラ」
2019年6月5日、「女性の職業生活における活躍推進に関する法律等の一部を改正する法律」が公布され、労働施策総合推進法が改正されました。それにより、企業には職場のパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が義務づけられました。
さらに2021年1月には、カスタマーハラスメントを含む優越的な関係を背景とした言動について、適切な対応や被害防止措置を講じるよう指針が示され、企業には「カスハラ対策の強化」が求められています。
このことからもわかるように、国主導で「ハラスメント対策」を実施しているものの、まだ解決すべき問題は多く、なかでも「カスハラ事案」はかなりの数にのぼります。
厚生労働省の「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間にハラスメントの相談があった企業のうち、カスハラ事案があったと回答した企業は92.7%にのぼり、これはセクハラ(70%)やパワハラ(78.6%)等のハラスメントの中でも最も高い割合となりました。
さらにこの3年間の該当件数の推移を見ると、相談件数と同様に「件数が増加している」と回答した企業(19.4%)の方が「減少している」(12.1%)と回答した企業より多いという結果が出ています。ほかのハラスメントと比べて増加傾向であることがわかります。
ピースマインド株式会社によると、ハラスメントによるストレスの経済的損失は年間平均約4万円/人という調査結果(「ハラスメントによるストレスの経済的損失を分析 ~1000人規模の大企業では約4000万円に~」)もあるなかで、企業のカスハラ対策は重要性を増しています。
社会保険労務士法人WILL
代表社労士
2001年、総合商社丸紅の事業会社に就職。2006年中国上海出向、2008年退職。2010年に社会保険労務士試験合格。15年の実務経験の中で多くの企業の労務管理をサポート。労務における手続き業務や給与計算、就業規則の作成や改訂といった基本的な労務サポートのほか、複雑化する労働環境に合わせた労務相談やDX化の提案にも対応。地元の中小企業から上場企業まで幅広い顧客層を持ち、クライアントの視点に立った丁寧なサポートで高い信頼を寄せられている。
2024年、雇用契約書クラウド管理システム「e-mu」をリリース。約70の社労士事務所に向けてアカウントを発行するなど、既存の社労士の枠にとらわれない活動をするとともに、近年はメディア系社労士としても活動。毎日テレビにて生成AIと労務相談についての撮影、奈良テレビにて最低賃金やハラスメントについての解説するほか、Yahoo!ニュースは年金問題についての寄稿なども積極的に展開。社会保険制度、労働諸法令はもちろん、労務管理に幅広いアンテナを張り巡らせながら、顧客と二人三脚でサポートを続ける。
社会保険労務士法人WILL
大阪府阿倍野区阿倍野筋1-5-1-あべのルシアス12階
電話番号 06-4396-2200
大阪府社会保険労務士会 所属
社会保険労務士法人WILLウェブサイト:https://www.will-sr.net/
Xアカウント:https://x.com/sharoukun
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載特定社会保険労務士がやさしく教える、令和時代の「失敗しない会社運営」