(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●先週の日経平均株価はメジャーSQ算出前に大きく上下、ただ金曜日はSQ値を上回り取引終了。

●週足の一目均衡表でも雲が日経平均をサポート、ローソク足は下ヒゲ陽線となり相場反転を示唆。

●日経平均は先週でいったん底打ちか、目先38,000円~40,000円のレンジ回復の成否に注目。

先週の日経平均株価はメジャーSQ算出前に大きく上下、ただ金曜日はSQ値を上回り取引終了

先週の日経平均株価を振り返ると、10日に36,972円59銭で取引開始後、11日には一時36,000円を割り込み、35,987円13銭の安値をつけましたが、その後は買い戻しが優勢となり、13日には37,326円27銭まで値を戻しました。14日は日経平均先物とオプションの3月物の特別清算指数(SQ)が算出され(今回は先物とオプションの清算が重なる、3カ月に1回の「メジャーSQ」)、SQ値は36,483円79銭となりました。

 

なお、14日の日経平均は37,053円10銭で取引を終え、SQ値を約570円上回りました。3月10日付レポートでも解説していますが、メジャーSQが算出される週は株価が大きく上下することが多く、先週の日経平均にもその動きがみられました。メジャーSQ前の株価変動はポジション調整に伴う一時的なものですが、SQ値は日経平均株価の「戻り高値」や「押し安値」となる傾向があります(図表1)。

 

[図表1]日経平均株価とメジャーSQ

週足の一目均衡表でも雲が日経平均をサポート、ローソク足は下ヒゲ陽線となり相場反転を示唆

ここで、前述の3月10日付レポートで紹介した日経平均の週足の一目均衡表を改めて確認してみます(図表2)。一目均衡表は、相場のトレンド判断に適しているトレンド系チャートの代表格であり、「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行線」という5つの線で構成されます。先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域を「雲」といい、上値抵抗帯や下値支持帯として機能することがあります。

 

[図表2]日経平均株価の一目均衡表

 

3月いっぱいは、先行スパン1が36,100円台、先行スパン2が36,400円台に位置し、雲を形成しています。日経平均は先週、35,987円13銭の安値をつけましたが、37,053円10銭まで値を戻して取引を終え、雲で下値を支えられた格好になっています。また、先週のローソク足は、週間の終値が安値を大きく上回り、始値も上回る「下ヒゲ陽線」の形状となっており、下げ相場での出現は、相場反転を示唆するものと解釈されます。

日経平均は先週でいったん底打ちか、目先38,000円~40,000円のレンジ回復の成否に注目

なお、東京証券取引所(以下、東証)によると、信託銀行は3月第1週(3月3日~7日)に現物株を3,343億円買い越しており、これは2022年6月第5週(6月27日~7月1日)の3,522億円以来、およそ2年8カ月ぶりの高水準となります。信託銀行の買い越しは、主に年金ポートフォリオのリバランスと考えられるため、日経平均の38,000円割れは、年金が買いの判断を行った水準と推測されます。

 

なお、先週1週間の信託銀行の売買状況は、今週木曜日に公表されます。このように、先週のSQ値に加え、一目均衡表やローソク足の形状、信託銀行の売買状況を踏まえると、日経平均は11日安値の35,987円13銭でいったん底を打ったとも考えられます。もちろんトランプ関税に対する市場の警戒は依然根強く、過度な楽観は禁物ですが、まずは昨年9月下旬から続いた38,000円~40,000円のレンジ回復の成否に注目が集まります。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メジャーSQを通過した日経平均株価の立ち位置【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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