●世界の株式市場では、いくつかの懸念材料を背景として、AI・半導体関連株の下落が続いている。
●ただ昨年末から先週末までの期間では、関連の株価指数や個別銘柄は依然高い上昇率を維持。
●足元のAI・半導体関連株の下げは年明け以降急速に上昇した株価のスピード調整と考えられる。
世界の株式市場では、いくつかの懸念材料を背景として、AI・半導体関連株の下落が続いている
世界の株式市場では、人工知能(AI)・半導体関連株の下落が続いています。この背景には、①米ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の巨額設備投資に対する根強い懸念、②半導体メモリー分野における中国の長鑫存儲技術(CXMT)や長江存儲科技(YMTC)の台頭、③韓国で登場した個別銘柄を対象として値動きを増幅するレバレッジ型の上場投資信託(ETF)などがあると思われます。
①は、その懸念により、決算発表を前に、持ち高調整の動きが強まったと推測されます。②は、CXMT(データの一時記憶を担うDRAMの中国最大手)やYMTC(データの長期記憶を担うNAND型フラッシュメモリーの中国最大手)の躍進が、半導体メモリーの世界的な供給過剰と価格下落への不安につながったとみられます。③は、7月16日付レポートで解説した通りで、世界的な半導体関連株の下げの一因になった模様です。
ただ昨年末から先週末までの期間では、関連の株価指数や個別銘柄は依然高い上昇率を維持
こうしたなか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は直近高値から先週末までに20.2%下落し(終値ベース、以下同じ)、韓国総合株価指数(KOSPI)は25.2%下落するなど、下落率が「弱気相場」入りの目安とされる20%を超えました(図表)。日本でも、日経半導体株指数が31.1%と大幅に下落し、日経平均株価も下落率が11.4%と、「調整局面」入りの目安とされる10%を超えました。
そして、主なAI・半導体関連銘柄についても、その多くが直近高値から先週末までに大きく下落していることが確認されます。ただ、改めて図表をみると、前述の株価指数も個別銘柄も、確かに直近高値から先週末までの下げは顕著であるものの、そもそも昨年末から直近高値までの上昇率がかなり大きく、足元の調整を経ても、昨年末から先週末までの期間では、ほとんどが2ケタ(なかには3ケタ)の上昇率を維持していることが分かります。
足元のAI・半導体関連株の下げは年明け以降急速に上昇した株価のスピード調整と考えられる
つまり、足元のAI・半導体関連株の下げは、金融危機や景気後退に起因するものではなく、年明け以降急速に上昇した株価のスピード調整と考えることができます。実際、ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数の直近高値から先週末までの下げは限定的であり、ナスダック総合株価指数や東証株価指数(TOPIX)も、ダウ平均やS&P500に比べ下落率はやや大きいものの、株式市場全体が大きく混乱している様子はみられません。
冒頭の3つの点について、①は、まもなく発表される決算内容の精査が大切であり、②は、競争の激化が高付加価値製品の誕生や技術革新を強く促す原動力になり得ると思われ、③は、韓国の金融当局が規制の動きをみせており、今後の展開が注目されます。以上を踏まえると、やはり重要なのはAI・半導体関連企業の業績であり、株価のスピード調整が終了した際、良好な決算内容が示されていれば、見直し買いの材料になりやすいと考えます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『下落が続くAI・半導体関連株をどう考えるか【三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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