(写真はイメージです/PIXTA)

欧州の保険業界において大きな影響を及ぼした、FWUルクセンブルクの財務問題。資本要件を満たせなかったことが発端となり、破産手続きへと進むことになりました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の安井義浩氏が、破綻の経緯と、保険契約者に求められる行動について詳しく解説します。

消費者にできること

さてこの時点(2024.12.18)でEIOPAは、保険契約者に対して、今後の行動をどうすべきかについて、以下のような一般的なアドバイスをしている。

 

保険監督当局は保険契約者の最善の利益のために行動する義務を負っており、資産凍結や新規事業の引き受け停止などの措置をすでに講じている。

 

そうした中で、保険契約者が十分な情報を得た上で財務上の決定を下すための最善の行動指針は、様々な要因により異なる(例えば、保険会社の財務状況、保険契約の諸条件、加盟国によって異なるかもしれない契約と破産法の具体的な規定、その他の関連する国内法)。

 

従って、保険契約者は、自己の契約に関する決定を下す前に契約の諸条件をよく読み、専門家のアドバイスを求めることが望ましい。ここでいう「専門家」とは、例えば、保険会社、仲介業者、国内の専用の連絡窓口、消費者協会がその候補として考えられる。

 

また、現在、FWUルクセンブルクについては、子会社を一時的に管理するために、裁判所から、独立した特別管理人が任命されている。特別管理人は企業の財務状況を評価し、最善の解決策を6か月のうちに特定しなければならない。その方策には、会社を再構築することから、会社を清算することまでの間に、広い可能性がある。

 

とはいえ、詳細については、ルクセンブルクもしくは居住地の保険監督当局の発信する情報をウェブサイトなどで確認することを推奨する。

誰が監督するか

次に、EIOPAは現在の保険監督体制について、以下のように説明している。

 

現在のEU監督システムにおいては、日常的な監督は各国の監督当局が担当し、本国当局が健全性、ホスト国当局が主に流通面を監督する、といったように役割が分かれている。グループ監督機関の追加の責任には、支店の活動と「サービスの無償提供」の原則に基づいて行われる活動が含まれる。全ての監督当局は、必要に応じて、国境を超えた事業の監督に関して協力し、情報を交換する責任がある。既存の監督枠組みにおいては、EIOPAは介入権限が限定されており、調整者、監督者、仲介者の役割を果たしている。

 

国境をまたぐ事例においては、EIOPAは監督者カレッジやコラボレーションプラットフォームなどを通じて、関連する国内の監督当局と緊密に連携している。カレッジにおけるEIOPAの役割は、効果的かつ効率的な監督活動を促進し、グループがさらされている可能性があるリスクを評価し、国内の監督者が実施するタスクを監視し、グループ監督に関連する監督慣行の統一を促進することである。

 

EIOPAは情報交換を強化し、関連する監督当局間の協力を強化するために、コラボレーションプラットフォームを設置して調整している。EIOPAは、プラットフォームが適切に機能するために必要な情報を、タイムリーに提供するよう、保険監督当局に要求できる。ただし、監督と執行の決定は、今後とも本国保険監督当局の権限である。

 

特に今回のケースでは、EIOPAは関連する各国の管轄当局と連携し、監督者間の良好な協力と情報交換を促進し、影響を受けるすべての欧州の保険契約者が、居住地や保険の加入場所に関係なく、公平かつ公正に取り扱われることを保証しようとしている。

 

なお、いまのところ、ルクセンブルクとオーストリアの両保険会社の認可は取り消されておらず、依然としてEIOPAに登録されたままである。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月21日に公開したレポートを転載したものです。

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