一番楽しかったのは人事部時代と気づき、キャリア支援の道へ
新卒で信託銀行に入行した山際祐治さんが、65歳までの嘱託雇用を選ばずに、60歳での定年退職を選んだのは、「仕事人生の最後は会社から与えられる仕事ではなく、心からやりたいと思える仕事をしたい」という思いから。
また会社員時代に犠牲にしてきた趣味や家族との時間を取り戻したいという願いもありました。
とはいえ退職時には「心からやりたいと思える仕事」の具体的なイメージはありませんでした。融資や資産運用については多少の自信がありましたが、もう金融の仕事はしたくない。
何らか世のため、人のためになる仕事をしたいという思いはあるけれど、じゃあいったい何をしようか……退職してからの1年間は、震災被災者の就学支援をするNPOに参加したり、失業保険の給付を受けたりしながら、「次」を模索する日々が続きます。
道筋が見えたのは、ハローワークのセミナーで勧められた「キャリアの棚卸し」をしてからです。これまでのキャリアを振り返る中で、ふと思い出したのが人事部で採用業務に従事していた頃のこと。
融資や資産運用、海外勤務などが長く、採用業務を担当したのは数年でしたが、希望に燃える大学生と面談し、彼らの将来、会社の将来の両方を考えながら採用を検討する。のちに採用した社員が活躍している姿を見て、「私の目に狂いはなかった」とほくそ笑んだり、「あのときに採用してもらったからいまがあります!」と感謝されたり……。
これが山際さんのキャリアの中でもっとも楽しく、心からやりがいを感じることができた仕事だったのです。世の中を見渡せば、若者の非正規雇用や早期離職が社会問題化していることもあり、「若者の就職活動を支援する」という仕事には大きなやりがいがありそうでした。
「心からやりたいと思える仕事」に気づいた山際さんはさっそく専門学校に入学。61歳にしてキャリアコンサルタントの資格を取得しました。けれども実務経験はなく、自身で顧客を集めるノウハウもない。
そこでシニアの就業を支援する派遣会社に登録をします。登録後、30件ほどマッチングの不成立が続きましたが気長に待ち、やがて大学のキャリアセンターでの学生の就職支援、勤務は週1~3日という理想的な仕事が舞い込んできたのです。
こうして山際さんは、キャリアコンサルタントとして大学生に向き合いながら、学生時代にあきらめたクラシックギターを習ったり、家族と旅行を楽しんだりと充実した日々を過ごしています。派遣は「雇われない働き方」ではありませんが、はじめの一歩として活用するのは良い方法です。
河野 純子
ライフシフト・ジャパン取締役CMO
ライフシフト研究者
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