60歳からの仕事は「好きなことを、無理なく、長く」…ワクワクの記憶をたどって見つけた〈本当にやりたい仕事〉2つの実例【ライフシフト研究者が解説】

60歳からの仕事は「好きなことを、無理なく、長く」…ワクワクの記憶をたどって見つけた〈本当にやりたい仕事〉2つの実例【ライフシフト研究者が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

60歳からの働き方について具体的に考えていますか? 長く働くことを考えるのであれば、「雇われる働き方」を卒業して、自分の好きな分野で小さな仕事を続けることが理想です。では、どうすれば自分の「やりたいこと」を見つけることができるのでしょうか。2つの実例を参考に考えてみましょう。本記事では、ライフシフト研究者の河野純子氏の著書『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、「やりたいこと」を見つけるアプローチについて解説します。

人生で一番ワクワクしたことを思い出す

やりたいことを見つけるための最初のアプローチ方法は、これまでの人生を振り返り、「一番ワクワクしたこと」を思い出すという方法です。

 

「ワクワクする気持ち」というのは、ひとりひとりの心の中から湧き出てくる未来への期待、行動の原動力になるものです。

 

心が弾むワクワク感があるから、人は頑張れるし、そんなワクワクを仕事にできたら人生は楽しいに決まっています。

 

会社主催のキャリア研修などで、自分を振り返るワーク、いわゆる「キャリアの棚卸し」をやったことがある人もいるかと思います。ただここでやることは、「自分ができること」に目を向けるのではなく、「ワクワクしたこと」にフォーカスして人生を振り返ることです。

 

また振り返るのは仕事だけでなく、人生全般。子どものころまで遡って、1歳ごとぐらいの詳しさで、じっくりと「ワクワク体験」を思い出してみてください。忘れてしまっていることもあるので、親や兄弟姉妹に聞いてみるのもよいでしょう。

 

またなぜワクワクしたのか、その背景にある気持ちまで深掘りしてみると、やりたいことにつながるヒントが見えてきます。

学生時代のバックパック旅行のワクワクを思い出し、旅行業で起業

例えば、機械メーカーで海外営業などを経験してきた田辺一宏さんが、60年近い人生を振り返って思い出した一番の「ワクワク体験」は、学生時代のバックパック旅行でした。

 

田辺さんは、57歳の役職定年を機に起業を考え始めます。60歳の定年後も嘱託雇用で事務職として働く道はありましたが、給与も大幅に下がり、事務職に面白みを感じることもできないため、であれば60歳で定年退職し、自分が楽しいと思える仕事をしたいと考えたからです。

 

当初は何で起業したらいいのか全くわからず、得意の英語を活かして英会話の先生になることも考えましたが、英語は好きだけれど、教えることは好きではないことに気づきます。

 

そんななか、起業塾で「できることよりワクワクすることで起業すべき」ということを学び、自分を掘り下げるワークに取り組みます。そこで大学2年生のときに1年間休学して、世界20か国を巡ったバックパックの旅の楽しさを思い出したのです。

 

旅行業だったら、英語も活かせるし、自分も楽しみながら働けると思い、心が決まります。「暮らすように旅する」というコンセプトで、民泊を活用した長期滞在型の個性的な旅行をインターネットで販売するという事業を立ち上げることになります。

 

そこからの田辺さんは実にパワフル。ゼロから情報収集をした結果、旅行業を始めるにはやらなければならないことがたくさんあることがわかり、次々とこなしていきます。

 

中でも難関は合格率15%の「総合旅行業務取扱管理者」という資格の取得。勉強のためにあわてて会社を辞めて、4か月間集中して学んで見事1発で合格。無事に60歳でひとり起業しました。開業当初は集客に苦労しましたが、同窓会や同業者の会などに積極的に参加してネットワークを広げ、軌道に乗せていきました。

 

田辺さんのお話を聞いていると、添乗でお客様と一緒に旅をしたり、空港で解散したあとひとりで近国をふらりと旅することもあるとのことで、実に楽しそうです。

 

「起業には苦労はつきもの。英会話教室ではワクワクが足りず途中でやめていたかも」と話しています。

 

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※本連載は河野純子氏の著書『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし

60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし

河野 純子

KADOKAWA

60歳は人生の転換点。これからの40年は、楽しく働く、自由に生きる。 「とらばーゆ」元編集長にしてライフシフト・ジャパン取締役CMO、人生100年時代のライフシフトを研究する著者がひもとく、60歳からの仕事と暮らしのリア…

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