事故物件には共通する特徴があり、とくに孤独死が発生する物件には一定の傾向が見られるといいます。それらの要素は、住人の健康や精神状態にどのような影響を与えるのでしょうか。本稿では、事故物件を専門に扱う「成仏不動産」を展開する花原浩二氏、税理士・公認会計士の木下勇人氏、税理士・不動産鑑定士の井上幹康氏による著書『不動産オーナー・管理会社のための 事故物件対応ハンドブック』(日本法令)より、事故物件の特徴について詳しく解説します。
事故物件の現場…どんな物件が多い?
成仏不動産サービスを始めてから3年で1,000件以上の相談を受けてきました。個別には様々な背景や事情などがありますが、それぞれの現場に足を運び詳しく話を聞くうちに、事故物件にはいくつかの特徴があることがわかりました。
突発的に発生する殺人現場にはそれほど特徴といったものは見受けられませんが、孤独死が発生する場合には特徴が色濃く出ています。
住環境の特徴①ゴミ屋敷
事故物件の一番の特徴は、ゴミ屋敷が多いことです。ゴミ屋敷とは明確に定義されてはいませんが、一般的には「住居内にゴミが堆積しており、生活できる空間が限られ、管理されていない住居」のことを指します。部屋に入るとゴミが散乱し、モノが散らかっていることが多くあります。
これまで不動産の査定のために何度もお客様の自宅に入ってきましたが、圧倒的に事故物件のゴミ屋敷比率は高くなっています。ゴミの程度は様々ですが、歩くスペースがなく山のようにゴミが積み上げられている現場や、至るところに排尿したペットボトルが置かれているようなケースもあります。
そこまでゴミが散乱していない現場でも、荷物が折り重なってぐちゃぐちゃに積まれ、台所、洗面、浴室、トイレなどはかなり汚れている部屋も多くあります。
一般的な感覚では理解しづらいかもしれませんが、どうやって生活していたのだろうかと不思議なほどの悪臭と、寝るスペースもなくトイレも流せないほどの環境です。
ゴミ屋敷のリスク
ゴミ屋敷は単に見栄えが悪いだけではありません。他にも様々なリスクが潜んでいます。
・悪臭や害虫の発生
不衛生な状態が長期間続くと、悪臭やゴキブリなどの害虫、ばい菌などが発生しやすくなります。悪臭は近隣住民にも悪影響を及ぼしかねません。
・火災のリスク
ゴミの下に埋まっている配線がショートしてしまう、あるいは清掃が行き届いておらず、コンセントに溜まったホコリが原因で発火してしまう可能性があります。また出火元の火が大量のゴミを伝わって広がり、大火災を引き起こす危険性もあります。
・建物の劣化
堆積された大量のゴミで重量が増すことで、建物が劣化する危険性があります。また、カビや湿気などが原因となり床や柱などの腐食が進み、建物の劣化が進行していきます。
マークスライフ株式会社
代表取締役
1977年、兵庫県豊岡市生まれ、流通科学大学情報学部卒業。阪神・淡路大震災の経験から地震に負けない家づくりをしたいと大和ハウス工業入社。2011年横浜支社分譲住宅営業所所長。2016年10月、増え続ける空き家問題を中心に、世の中の困りごとを不動産の可能性を追求することで解決したいと独立。事故物件のイメージアップや高額買取りへの挑戦を通じて事故物件マーケットを構築する「成仏不動産」、葬儀を儀式のビジネスから総合エンディングビジネスへと転換する支援サービス「葬祭事業者サポートサービス」など複数のサービスを展開。日本国内のみならず海外からも数多くの取材を受け、不動産業界の革命児として注目を浴びている。
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連載不動産オーナー・管理会社のための事故物件対応ハンドブック
相続・事業承継専門『税理士法人レディング』 代表
税理士
公認会計士
宅地建物取引士
1975年、愛知県津島市出身。大学時代に宅建、不動産鑑定士を取得。28歳で公認会計士試験に合格し、「監査法人トーマツ」名古屋事務所に入所。上場企業級の非上場会社オーナーファミリーの事業継承対策に従事。約5年勤務の後、33歳で独立し、名古屋で公認会計士木下事務所・木下勇人税理士事務所を開設。翌2009年に、相続・事業承継専門の税理士法人レディングの代表となる。2017年、東京にも事務所を開設。現在、全国の税理士向け、保険募集人向け、不動産事業者向けなど、相続を取り巻くプロ相手に年間150回の研修講師をしながら、相続に関する情報を発信している。不動産鑑定士第2次試験合格者。AFP資格認定。東京税理士会 京橋支部所属。
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税理士・不動産鑑定士
税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)にて、東証一部上場企業含む法人税務顧問、税務調査対応、組織再編、IPO支援、M&Aの税務DD業務、税制改正セミナー講師、財産評価を中心とした資産税実務を経験。退職後、2018年7月に税理士として独立開業。非上場株式や不動産の評価業務、中小企業や不動産オーナーの事業承継コンサルティング業務を得意とする。税理士向けセミナー講師や執筆活動も行っており、税理士からの相談実績も多数。著書に『税理士のための不動産鑑定評価の考え方・使い方』(単著・中央経済社)がある。
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