友人との再会をきっかけに生まれた「転機」
そんなとき、ベンチャー企業でセールスを担当している友人と久々に会った際、会話のなかで「営業チームの会議前に雑談の時間を設けたところ、ミーティングの流れがスムーズになった」と聞いた。
亮さんはこの話を聞き、雑談がチームマネジメントや営業成績向上に貢献する可能性に気づく。その場で友人に「会社で試験的に研修をやらせてくれないか」と頼み込み、了承を得ることができた。
しかし、問題は「ワークショップの内容をどう作るか」だった。法人向け研修は、単に話がうまいだけでは務まらない。説得力のある資料に実践的なワーク、明確な成果指標が求められる。
そこで亮さんは、心理学や行動経済学の書籍を読み込み、体系的なノウハウをまとめる作業を開始。「信頼を生む雑談の法則」「人が心を開く瞬間」などのテーマを設定し、具体的なケーススタディを取り入れた研修プログラムを作成した。
その結果、研修後の参加者アンケートでは「商談の場でのアイスブレイクがスムーズになった」「顧客と信頼関係を築きやすくなった」など、具体的な成果につながる声が多く寄せられた。
友人の会社で実施したワークショップが好評を博したことにより、他の企業でも通用するのではないかと考えた亮さん。
そこで、「単なる雑談スキルの研修」との差別化を図るべく、「営業力向上のための雑談スキル研修」として、より実践的な内容へとブラッシュアップ。参加者が研修を通じて明確な行動変容を起こせるよう、ケーススタディやロールプレイングを充実させた。
さらに、友人の会社からの紹介を活用し、営業コンサルティング会社の経営者や人材育成担当者にアプローチ。亮さんの「雑談力」もあり、受注につなげることができた。
そうして実際に研修を受けた担当者の口コミが広がり、「すぐに現場で活かせる研修」として、企業の人材育成部門からの関心を集めるようになった。
加えて、参加者自身が転職後に新しい企業で「この研修が役に立った」と話したことがきっかけで、別の企業から研修依頼が舞い込むなど、自然な口コミが広がる形でビジネスが拡大していった。
その結果、単発の研修依頼から年間契約へとつながるケースも増え、亮さんの副業はより安定的な収益を生み出すようになっていった。