(※写真はイメージです/PIXTA)

長年染みついたお金の使い方を変えることは容易ではないでしょう。しかし、身近な人の金使いに変化があったときは見逃さないほうがいいかもしれません。本記事では、老後資金の考え方についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

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難病の発覚

ある日、聡さんはさおりさんに「話がある」と切り出しました。聡さんの口から語られたのは、遺伝性の神経の難病に罹患したという衝撃的な事実でした。

 

以前、聡さんは右足に違和感を覚えて病院を受診したところ、医師から病名を告げられたそうです。進行には個人差があるものの、段々動きが鈍くなっていき、いずれはほとんど動かないような状態になるとのことでした。完全に寝たきり状態になることもあり得ると聞き、さおりさんは言葉を失いました。

 

自身の難病を知った聡さんは、妻に負担をかけないよう節約を始めたのです。自分が動けなくなったときのために、と初めて貯金というものを意識するように。

 

まさかの事態に動揺を隠せないさおりさんでしたが、夫とともに病気と向き合い、将来のために、夫が自分で動けなくなった場合の生活資金を2人で協力して貯めていこうと気持ちを切り替えました。

老後の生命保険の考え方

今回、聡さんは自身の難病を知って貯蓄の必要性に気がつき、節約を始めました。

 

老後資金が不十分な場合、働いて収入を得ることで生活費を賄うことが第一の選択肢です。早い段階で支出を見直して資産形成を開始することも大切ですが、リタイア後も働かなければならない状況で働けない状態になると、収入を失ってしまうことにもなります。

 

一般的に、子供が独立したあとの老後には高額な保障は不要と考えられます。しかし、今回のケースのように、収入を失ってしまうと生活に支障が生じるような場合には、生命保険で対策することも検討すべき手段の一つです。

 

聡さんのような状態の場合、症状が進行し所定の状態に該当した場合に支払われるような商品や、資産形成と保障を兼ねたような商品で事前に準備することもできます。当然罹患後に加入することはできませんのであくまで準備であることには注意しましょう。

 

また、リタイア時に十分な資産を確保できていない場合には、公的年金の繰下げを行い、元気なうちは働いて収入を得て、完全にリタイアしたあとの公的年金を増額することも一つの選択肢です。

 

老後の資金計画、ひいては人生全体の資金計画を考えるのは、少しでも気になったそのタイミングです。どうしても優先順位が低く、考える機会も少ないかもしれませんが、できるだけ早期に自分の人生設計や家計の状況と向き合い、働き方、資産形成プラン、自分たちのリスクとその対策について考えていきましょう。

 

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