波平、フネの入院で広い家にポツンと1人に…一戸建て住宅の独居生活で一気に高まる「孤独死」のリスク【終活コンサルタントの助言】

波平、フネの入院で広い家にポツンと1人に…一戸建て住宅の独居生活で一気に高まる「孤独死」のリスク【終活コンサルタントの助言】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「家じまい」という言葉は、どこか後ろ向きで寂しいイメージを持つ言葉でもあります。しかし、それは家との決別ではなく、新しい暮らしを始めるための準備なのです。本連載では、終活コンサルタントの長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集して、多くの方に親しまれている「磯野家」をモデルケースに、一戸建て住宅で起こる孤独死について解説します。

一戸建て住宅での孤独死対策とは

波平とフネが住む世田谷の一戸建て住宅。子どもたちが巣立った後も、夫婦二人で暮らし始めた当初は、まだ家族の気配が残る温かい空間でした。

 

しかし、波平が先に亡くなった場合や、フネが体調を崩して入院した場合など、一人きりでこの家に住み続けることを想像すると、不安がよぎります。

 

一戸建て住宅で独居生活を続ける中で、孤独死のリスクが現実のものになる可能性があるからです。

 

一戸建て住宅は、マンションでいう共有部分がなく管理人もいないという意味でプライバシーが守られていますが、周囲からの視線が届きにくいため、異変が起きても発見が遅れることがあります。

 

たとえば、波平が一人で生活する場合、数日間も郵便物がたまっても、近隣住民がすぐに異変を察知することは難しいかもしれません。また、フネも最近は階段の昇り降りがきつくなり、必要最低限の部屋しか使わなくなっているため、家全体を活用しているとはいえません。

 

これがさらに孤独感を深め、家が「安心」ではなく「負担」に感じられる原因になってしまうことも。

 

一戸建て住宅での孤独死を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか? 波平とフネが検討しているのは、以下の方法です。

 

●見守りサービスの導入

住み替えの検討自治体や民間のサービスを利用して、定期的な安否確認を受けることで、万が一の場合にも迅速に対応してもらえます。特に、家族が遠方に住んでいる場合、このようなサービスが心の支えになります。

 

●住み替えの検討

波平とフネは、世田谷の一戸建てを売却して高齢者向けマンションやサービス付き高齢者住宅(サ高住)に入居する選択肢も考えています。これにより、生活の負担が軽減されるだけでなく、住民同士の交流やスタッフの見守りを受けられる環境で生活することができます。

 

●地域や家族とのつながりを強化

地域活動への参加や近隣住民との関係構築を通じて、孤立を防ぐことも重要です。波平は、最近町内会の集まりに積極的に顔を出すようになりました。フネも、近所の茶話会に定期的に参加することで、小さな助け合いの輪を広げています。

 

一戸建て住宅は家族が集まる場所としての魅力がありますが、高齢になって一人で住むにはリスクが伴うことも事実です。

 

波平とフネのように、早い段階で家の将来と自分たちの暮らし方について話し合い、現実的な選択肢を検討することが、孤独死を防ぐための第一歩といえるでしょう。

 

 

長谷川裕雅

永田町法律税務事務所代表

終活コンサルタント

 

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※本連載は長谷川裕雅氏の著書『磯野家の家じまい』(リベラル社)より一部を抜粋・再編集したものです。

磯野家の家じまい

磯野家の家じまい

長谷川 裕雅

リベラル社

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