中国企業成長の背景にある「挑戦」のマインド
挑戦の目標設定ということでいうと、私は経営の師から教わったことがあります。それは師の会社が中国につくった子会社の女性営業本部長の話です。その人は現地採用の中国人スタッフだそうです。
ある日彼女が、世界的にも有名な海外の運河でロックゲート(高低差のある水面の高さを船を載せたまま調整して船を通過させるエレベータ設備)の国際入札があるので参加したい、と言ってきたというのです。
彼は、それは国の威信を懸けたプロジェクトで、うちの会社が参加するようなプロジェクトではない。化学プラント建設の仕事なら経験があるが、運河という巨大な土木施設のロックゲートは専門外であり、無理だからやめたほうがいい。先方もうちのような会社に仕事は出さないだろう、と説得したのです。
ところがその営業本部長は、うちの会社が取り組むレベルのプロジェクトではないことは分かっているが、たとえ受注できなくても未知の分野だからこそ営業チームにとってはプレゼン資料をつくるだけでも非常に大きな経験になり、飛躍のチャンスになる。もし受注してしまったら、専門家をヘッドハントするか、日本の大手重工を下請けにすればよいでしょう、と言ったというのです。
私はこの話を聞きながら中国人スタッフの挑戦のマインドはすばらしいと思いました。営業チームに今とは違う次元のプレゼンを準備させる機会を提供する、というのがこのとき、彼女の設定した目標なのです。受注ではありません。受注してしまうのは会社の力量を思えばむしろリスクで、そのときは大手メーカーを下請けに使えばいい、という挑戦の戦略は今の日本の企業にはない発想だと思いました。
もちろんこういう挑戦もありです。この挑戦の次は、実際に受注を目標にした挑戦が続くはずです。そういう挑戦を続けてきたから中国企業は強くなったのですねと師と話しました。
挑戦と十把ひとからげにいえるものがあるわけではありません。挑戦には大きなもの、小さなもの、ある目標に至るための手段として考えるもの、事業目的ではなく、組織や人を育てるために取り組むものなどさまざまです。なんのために、何を目標とした挑戦なのか、それを見極めることが重要です。
(株)三光堂(岐阜)
大野 正和
代表取締役会長 CEO
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