定年退職後の生活「ビールを発泡酒に替える」より…ずっと重要な見直しポイント、7つ【経済評論家が解説】

定年退職後の生活「ビールを発泡酒に替える」より…ずっと重要な見直しポイント、7つ【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長年のサラリーマン生活も、定年退職すればとりあえず一区切り。ホッとして自由を謳歌したくなるかもしれませんが、これから先も長い人生が続くことを忘れてはいけません。不安の少ない快適な人生後半を生きるには、いくつか気を配っておきたいポイントがあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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仕事は継続、生命保険の解約、手狭な家への引っ越しも

これから先、悠々自適もいいですが、もしあなたが『サザエさん』に登場する磯野波平氏より元気なら、なにか仕事をするのも選択肢だといえます。収入の面はもちろんですが、ボケの防止になりますし、社会とのつながりを保つことは精神衛生にもいいかもしれません。

 

それから、生活を見直しましょう。退職金を受け取ったら、生命保険は不要ですね。あなたに万が一のことがあっても、遺された家族が路頭に迷うことはなさそうですから。

 

子ども部屋が不要になっているのなら、郊外の広い家から都心の小さなマンションに引っ越して、自動車を手放して公共交通機関で生活する、といったことも検討しましょう。「ビールを発泡酒に替える」より重要なことがあるかもしれませんよ。

 

見直し1:定年退職後も仕事をしてみる

見直し2:生命保険は不要になる可能性が高いので、解約も選択肢に

見直し3:郊外の家が広すぎるなら、都心の小さなマンションへ引っ越しを

日々の生活は「年金」で、ささやかな贅沢は「老後資金」で

サラリーマンは公的年金が充実しています。公的年金は、どれほど長生きしても最後まで受け取れますし、インフレが来ても原則としてインフレ分だけ受取額が増えるので、最強の老後資金といえます。

 

標準的なサラリーマンと専業主婦なら、65歳から毎月23万円強の年金が受け取れます。それで最低限の生活をして、あとは老後資金を少しずつ取り崩してささやかな贅沢を楽しむ、といったイメージでしょう。

 

要検討なのは、年金の受け取り開始時期を遅らせることです。たとえば70歳から年金を受け取り始めると、毎月の受取額が42%増えるので、老後の安心感がまったく異なるはずです。理想は70歳まで働いて生活費を稼ぐことですが、老後資金を取り崩しながら生活して70歳を待つ、という選択肢も検討に値するでしょう。

 

見直し4:生活費は年金から、ささやかなぜいたくは老後資金から出す

見直し5:年金受給の繰り下げを検討、目処は70歳から

年金受け取り開始時の「金融資産の状況」を予想してみる

ここからは、資産運用の話です。「60歳で退職金を受け取り、定年後再雇用で65歳まで働いて生活費を稼ぎ、65歳から年金生活をする、という前提で考えてみましょう。

 

リスクを覚悟して運用で増やして豊かな老後を、という話ではありません。老後資金を全額現金で持っていると、インフレで目減りしてしまう(買える物の量が減ってしまう)リスクがあるので、老後資金の一部は株式等のインフレに強い資産に振り分けておいたほうが安心だ、という守りの投資の話です。「インフレで預金が目減りし、同時に株も外貨も値下がりする」といった最悪の事態に陥る可能性は大きくないからです。

 

退職金を受け取った瞬間は、金融資産のほとんどが銀行預金だ、という場合も多いでしょう。そうなると、株式等を買いたくなるかもしれませんが、一度に大量購入するのは危険です。5年間くらいかけて、少しずつ買っていきましょう。そうすれば、高いときも安いときも買うことになるので、大儲けは狙えませんが、大損のリスクは小さいでしょう。

 

重要なのは「65歳時点で金融資産をどれだけ持っているのか」「そのうち何割を預金で、何割を株式等で持っているのか」というイメージを持つことです。そのイメージから逆算して、毎月の株式購入額を決めればいいからです。

 

65歳時点の金融資産総額は、現在の金融資産額をスタートにして、毎月働いて稼ぐ金額と毎月の生活費を予想すればイメージできるでしょう。あとは、その内訳です。金融資産の何割を株式等で持つべきか、正解はありませんので、自分が何を恐れているのか、考えて決めましょう。

 

「株式等は暴落が怖い」「でも、インフレによる預金の目減りも怖い」ということで、どちらのリスクをどの程度我慢するかを考えるのです。

 

ちなみに筆者は「平均株価は、暴落しても長期で持っていれば戻るだろうから、それほど怖くない。一方で、インフレは怖いので、株式等の比率を高めにしよう」と考えていますが、そのあたりは各自のイメージで決めればいいでしょう。
 

見直し6:インフレ対策として金融資産を「貯金」と「株式等」に振り分ける

「NISA枠」を活用して株式投信の積立を

株式等と書きましたが、実際には株式の投資信託を買うのが便利でリスクも小さいでしょうし、毎月少しずつ買うほうが安心ですから、投資信託のつみたて投資をしましょう。どの投資信託がいいかわからなければ、「NISAのつみたて投資枠」の対象となっている投資信託のなかから選ぶとよいでしょう。

 

対象となる投資信託は金融庁が公開している「つみたて投資枠対象商品届出一覧」から確認することができます。

 

その際に重要なのは、NISA制度を活用することです。1人1,800万円までの投資なら、配当収入も売却益も非課税になるので、利用しない理由はありません。新しく投資をする分は当然NISAを使うわけですが、すでに持っている株式等がある場合は、それを売ってNISAの枠で買い直すことも選択肢です。売買手数料はかかりますが、非課税の魅力はそれ以上に大きいでしょうから。

 

2024年からNISAの非課税枠が拡大されたので、庶民の株式等はNISAの上限を超えることはないでしょう。金融資産を1億円持っている「上級庶民」でも、夫婦2人の非課税枠を使えば金融資産の36%まで非課税で投資できるので、非常にありがたい制度ですね。ぜひ、活用しましょう。

 

見直し7:「NISA枠」を活用して株式投信の積立を

 

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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