「贈与ではない」と主張するには、明確な「証拠」が必要
この事例では、親子間で資金のやり取りがあった場合、それが贈与でないことを証明できなければ、贈与とみなされると判断されています。
民法549条において、贈与は「当事者の一方がある財産権を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定められています。
つまり、「贈与はお互いが意思表示をしていれば成立する」ということになりますが、実際トラブルに発展した際に「お互いの意思」を根拠とするのはなかなかに難しいため、実際には「贈与があった(なかった)ことをどう証明するのか」が問題となります。
国税不服審判所の判断の決め手となったのも、Aさんが両親の口座からの資金移動の理由を明確に説明できないことでした。
「贈与がなかったことを証明せよ」というと悪魔の証明のように思えますが、「労働の報酬だった」「立て替えてもらっただけ」という主張についても、契約書や返済の記録といった明確な証拠を示すことができなかったことが敗因でしょう。
親子間のなにげないお金の貸し借りでも、贈与税の課税対象となる可能性があります。無用な贈与税課税を避けるためには、「金銭消費貸借契約書」などの書面や、返済の記録を残しておきたいところです。
高橋 創
税理士
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