(※写真はイメージです/PIXTA)

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日本のCPIは3.6%上昇。日銀は何を見ている?

1月24日に、総務省は、日本の2024年12月時点の消費者物価上昇率が前年同月比で3.6%であったと報告しました。

 

日銀が物価安定目標の対象とする「生鮮食品を除く指数」は同3.0%であり、合わせて重視されている「生鮮食品及びエネルギーを除く指数」は同2.4%でした。

 

金融政策において、食品やエネルギーの価格は「変動が激しく、(金融政策では)コントロールできない」といった理屈で、これらを除く指数が政策目標として用いられます。

 

しかし、われわれ庶民の生活にとっては、食品やエネルギーは最も重要な項目です。そして、われわれはいま、そのことを痛いほどに実感しています。

 

そんな中、中央銀行の富裕なエリートたちに、これらを取り除いたものでインフレ率を語られてもわれわれにとっては生活実感と合わず、的外れ・見当違いであり、「これらを取り除いたものをコントロールする」と言われても、われわれは「われわれが実際に直面している物価をコントロールしてほしい」と思ってしまいます。言い換えれば、中央銀行のエリートたちは(富裕な政治家や企業経営者たちも)、われわれの生活をいっさい理解していないということです。

 

加えて、中央銀行や民間のエコノミストたちが「実質賃金はまもなくプラスになる」というときには、前年同月比といった「伸び率」で語られます。

 

われわれにとって大事なのは「伸び率」ではなく、「水準」です。一度失われた購買力は回復に無限といってもよい長さの時間がかかります。「実質賃金が前年同月比でプラスになる」というトークは、ごまかしやまやかしであり、実質消費の回復にもさほどの影響を与えません(→筆者は筆者自身も批判しています)。

 

付け加えれば、エコノミストが好む「実質賃金の伸び率」はマイナスが続いており、エコノミストの予想は外れています。

 

[図表2]実質賃金の水準と伸び率(前年同月比)
[図表2]実質賃金の水準と伸び率(前年同月比)

 

日銀が1月17日に公表した「生活意識に関するアンケート調査」では、「1年前と比べた現在の暮らし向き」について、「ゆとりが出てきた」との回答割合(4.7%)から「ゆとりがなくなってきた」との回答割合(先の57.1%)を差し引いたDI(ネット値)は2022年以降低下し、2023年以降は底ばいで、直近の52.4は2008年9月のリーマン・ショック時並みです。景気回復・拡大はどこに行けば見つかるのでしょうか。いつまで待てばよいのかと感じて当然です。

 

[図表3]1年前と比べて現在の暮らし向きは良くなったか、悪くなったか
[図表3]1年前と比べて現在の暮らし向きは良くなったか、悪くなったか

 

加えて、「1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか」との問いに対する回答は平均値が17.0%、中央値が12.5%でした。これらの回答には通常は大幅な上方バイアスがあります(→高く数値が出る傾向にある)。ただ、筆者の肌感覚と一致しています。

 

たとえば、「以前に訪れたことのある旅館の宿泊費が高すぎて宿泊できない」「旅行の回数を減らす」なんてことはざらです(→先の「現在の暮らし向き」の調査結果と同じです)。

 

「一般的な日本人が以前と同じ生活ができない」「年を追うごとに生活範囲が狭まる」状況を景気回復・拡大と呼ぶことはできないでしょう。それは単に、一般的な日本人から、特定の日本人や外国人に利益が移転しているだけです。

 

金融緩和を続けるべきなのか、金融引き締めがよいのか、はたまた「金融政策マター」ではないのか、筆者にはわかりません。しかし、政府も中央銀行もわれわれの生活を知るべきでしょう。

 

合わせて、われわれ自身も海外資産への積極的な投資によって円安に貢献し(海外勢による追随を含む)、われわれ自身の生活困窮に一役買っていることも心得るべきでしょう。

 

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