前回は、不動産の高値売却につながる「土地の加工」について説明しました。今回は、買主のニーズに合わせた土地の「分筆」で高値売却を実現する方法について説明します。

ニーズの違う多数の買主を呼び込むことが可能に

買主候補のニーズを聞き取り、さらには最適な買主が誰なのか判断できたら、最終段階としてニーズに合わせた不動産の加工を行います。多様な加工方法を組み合わせることで、買主が「高値でも購入したい」と感じる不動産を作り出すのです。

 

土地の使いやすさに対するニーズに応えるため、土地を「分筆」するのは一般的な加工方法です。

 

たとえば1000坪の土地をそのまま利用できる買主は限られますが、これをロードサイド側の500坪、奥側の300坪と200坪というように分けることで、ニーズの違う買主を多数呼び込むことができます。【図表】の例ではロードサイド側の土地は商業テナント用として売却し、奥側の土地は200坪の分を医療クリニックに売却、300坪の方は中に通路を通して分譲地としてエンドユーザーに売却しています。

高値売却のための「加工」でもとの価格の6割増しに

1000坪のままなら利用方法が限られているため、価格は抑えられてしまい3億円が上限といったところの事案でした。

 

それが、さまざまな買主候補と面談する中で、用地を積極的に探している小売チェーンや病院の存在に気づくことができました。また、近隣では分譲地の人気が高いことも判明したため、【図表】のような形に分筆し、分譲地については不動産仲介会社に売却を依頼したのです。

 

その結果、商業テナント用の500坪の土地は坪60万円、医療クリニックは坪30万円、分譲地は坪40万円となり、合計額は4億8000万円になりました。もともとの価格の6割増しです。高値売却のために「加工」に要した費用を差し引いても大きなプラスが発生します。

 

このケースでは土地を分割して道路を通しただけですが、傾斜している土地は利用しにくいので削って平らにするなど、土地の状態や買主候補のニーズによっては他にも多様な加工が考えられます。

 

【図表】土地の加工例

道路面より高くなっている土地を好むユーザーもいますが、商業施設の用地には不向きなので、土を削って高さを道路に合わせることもあります。

本連載は、2016年8月16日刊行の書籍『経営者のための事業用不動産「超高値」売却術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

大澤 義幸

幻冬舎メディアコンサルティング

事業が悪化し経営苦に陥った中小企業経営者の切り札「不動産売却」。できるだけ高値で売却して多額の負債を返済したいと考えながらも、実際は買手の〝言い値″で手放せざるを得ないケースが多い。しかし、売れないと思っていた…

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