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NISA口座は「分配金」を目当てに投資してもよい?
前回は、「NISA口座を使い倒すなら株式個別銘柄よりも投資信託を優先すべき」という話に触れました。NISA口座では、長期にわたって保有できる投信のほうが、相対的に短期の売買が求められる株式個別銘柄よりも有利になるという内容です。
では、NISA口座で投資信託に投資する際、「分配金を目当てに投資すべき」なのでしょうか? 各証券会社の売れ筋ランキングを見ると、かつて一世を風靡した「分配型商品」の人気が再燃しているようです(NISAでは制度上、毎月分配が禁止されているため、年4回型や隔月型が登場)。また、高配当銘柄への投資をうたうファンドも人気を集めていることがわかります。
NISA口座では、値上がり益と同様に分配金や配当も非課税となります。このため、非課税で受け取れることにメリットを感じ、分配型投信や高配当銘柄を選ぶ投資家も多いのかもしれません。果たして非課税だからといって、NISA口座で投信の分配金を受け取るべきなのでしょうか。
NISAでは投信の分配はいかなるときも不要
結論を申し上げますと、NISA口座では投信の分配を受け取るべきではありません。投信から支払われる分配はNISA口座では一切不要です。
かつて、運用成績に関わりなく高い分配金を払出し続けるような分配型投信が、特に投資初心者や高齢者に多く販売されたことが社会問題化しました。その後、多くの啓発活動が行われてきましたが、今でも分配金は誤解されやすい概念です。
分配金と聞くと、「投信が好調だから支払われるもの」と思われがちです。しかし、投信の分配金は、ファンドの収益状況や保有している投資対象からの配当・利子収入を必ずしも反映したものではありません。運用成績に関係なく、元本を取り崩して支払われる場合も多いのです。
確かに、高配当・高利回り銘柄を組み入れることで分配がしやすくなるという投信計理(会計)上のルールは存在します。しかし、受け取った配当や、あるいは発生した値上がり益を分配として支払うかどうかは運用会社の裁量であり、それどころか実際にはリターンが出ていなかったり、受取配当が予想を下回ったりしていても、投信は想像以上に柔軟に分配金を設定できます。
分配金は、その払い出しの頻度や金額の大小にかかわらず、すべて投資信託の「強制払い戻し」として理解するのが正しいといえます。利益の還元とは限らないのです。
このように書くと、分配金という仕組みがなぜ存在するのかと疑問に思われる人もいることでしょう。本来は投資家に利益を還元するための仕組みとして設計されました。しかし、実際の利益のみを還元しようとすると運用が非常に複雑になってしまうため、実務では必ずしも本来の意図通りには運用されていないと理解しておいてください。
投信を売却することで発生するキャピタル・ゲイン(値上がり益)とインカム・ゲイン(分配益)で税率が変わるようなことがあれば、分配金にも経済合理性が生じる可能性はあります。実際に、課税口座においては少額の分配を受け取る方が経済的にメリットを享受できるケースもあります。しかし、NISAでは値上がり益も分配益もどちらも非課税なため、いかなるときもNISA口座で分配を受け取るメリットはありません。