節税目的の養子縁組を行う場合の注意点
メリット
1.基礎控除額の増加
養子縁組により法定相続人が増えるため、相続税の基礎控除が増え、課税対象財産を減少させることができます。
実子がいる場合:養子1人まで控除対象。
実子がいない場合:養子2人まで控除対象。
2.累進課税の緩和
財産を複数の相続人に分散することで、相続税率(10~55%)の負担が軽減されます。
3.生命保険非課税枠の拡大
養子を含む法定相続人の数が増えることで、生命保険金の非課税枠が拡大し、税負担をさらに軽減できます。
4.財産承継の計画性向上
養子縁組によって、家業の後継者や特定の人に財産を承継させる道を整備しやすくなります。
デメリット
1.税務署のチェック
節税を目的とした養子縁組とみなされると、税務署による調査の対象となり、過剰な養子縁組は否認される可能性があります。
2.他の相続人とのトラブル
養子縁組により遺留分が減少する場合、他の相続人が不公平感を抱き、遺留分侵害額請求が発生する可能性があります。
3.養子の数に関する制限
相続税の計算上、養子の数には制限があります。
実子がいる場合:1人まで。
実子がいない場合:2人まで。
この制限を超える場合、基礎控除や税額軽減に反映されません。
4.養子縁組後の家族関係の複雑化
養子縁組によって家族関係が法的に変更されるため、家族間で感情的な負担が生じる場合があります。
注意点
1.適切な手続きの実施
養子縁組の手続きは家庭裁判所を通じて法的に整え、形式的な養子縁組とみなされないよう実質的な親子関係を築くことが重要です。
2.遺言書の活用
養子縁組による財産分配が偏らないよう、遺言書を作成して意図を明確に伝えることを検討します。
3.家族との合意形成
他の相続人や親族に対し、養子縁組の目的や意図を説明し、トラブルを未然に防ぐ努力を行います。
4.専門家への相談
養子縁組が節税目的であると誤解されないよう、税理士や弁護士などの専門家と事前に十分な相談を行います。
結論
養子縁組は、相続税の節税に効果的な方法ですが、節税だけを目的に行うとトラブルの原因となることがあります。家族の将来や関係性を考慮しながら、遺言書やその他の対策と組み合わせて、バランスの取れた計画を立てることが重要です。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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