早く出て行かないかな…母が残した土地は2,400万円の評価額。さっさと遺産分割をしたい〈59歳女性〉が頭を抱える、2階から降りてこない「55歳弟の存在」【相続の専門家が解説】

早く出て行かないかな…母が残した土地は2,400万円の評価額。さっさと遺産分割をしたい〈59歳女性〉が頭を抱える、2階から降りてこない「55歳弟の存在」【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺された財産に預金がなく、不動産のみをきょうだいで分けるしかない場合もあるでしょう。しかし、その不動産に現在も誰かが居住していたら、どのように分割すれば良いのでしょうか? 本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、現在も居住している住宅を売却して遺産分割に充てる場合について解説します。

母親が亡くなって1年半

八重子さん(59歳・女性)が相談に来られました。母親が亡くなって1年半経つのに、まだ遺産分割ができていないというのです。父親は八重子さんが幼いころに離婚。母親は働きながら八重子さんをはじめ、弟、妹の3人を育ててくれました。幸い、祖父母の家に同居してきましたので、祖父から相続した30坪の自宅が母親の財産として残りました。

 

八重子さんと妹は結婚して実家を離れましたが、55歳の弟が独身のまま、ずっと母親と二人暮らしをしてきたのです。弟は母親と暮らしていたときから2階の自室に閉じこもり、八重子さんや妹とも滅多に顔を合わせることはできませんでした。

一周忌が過ぎた

母親の一周忌も過ぎたころ、そろそろ財産の分け方を決めようときょうだいで話し合いの場を設けました。話し合いには弟も渋々参加しました。しかし、弟が言うには母親の預金はほとんど残っていないと言うのです。そういうことであれば、唯一の財産である家を売却して分けるしかないという話になり、おおむね、3人ともそうするしかないと合意をしています。

 

しかし、弟が「すぐには出られない」「売ったら住むところがなくなる」「俺、行くところない」などと言い出し、再び2階の自室に閉じこもってしまいました。頭を抱えた八重子さんはどうしたらいいかと相談に来られました。

次ページ長男が代償金を払う方法

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録