養子縁組をすると戸籍上の子どもとなり、相続人が増えることから基礎控除も増えて確実な節税対策になります。しかしながら、節税対策としての養子縁組にはメリットだけでなくデメリットや注意点が存在します。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が具体的な事例をまじえて、養子縁組のメリット・デメリットについて解説します。
養子縁組の節税効果とリスク
養子縁組をするメリットはいくつもありますが、哲也さんひとりに財産が集まっていくのを避けて、妻や子ども(孫)に分散させることも対策になります。
哲也さんは早速、自分の妻に相談したのですが、同居しているが嫁姑の仲はあまり円満ではなく、自分は義両親の養子になりたくないし、自分の息子も祖父母の養子にはしたなくいとはっきり断られてしまったといいます。
養子縁組の節税効果は明らかではありますが、対策のために家族の感情を逆なでしてまで進めることではないとアドバイスしました。哲也さんの妻子を巻き込まない方法で節税対策をするための相続プランを作成することにして準備中です。
まとめ 養子縁組はどう活用する?
養子縁組をすると戸籍上の子どもとなり、相続人が増えることから基礎控除も増えて確実な節税対策になります。しかし、家族関係にも影響があるので、養子縁組する際には事前に相続人全員に知らせておくことが親切です。
また節税対策になるとはいえ、真の親子ではないことの違和感を抱えるようなことであれば対策のためとしても進めるべきではないでしょう。節税であれば他にも方法があるので、ストレスのない方法を選択するようにしましょう。
養子縁組のメリット、デメリットは?
相続税の節税対策として養子縁組を活用することは、相続財産を有効に分散し、税負担を軽減するための有効な方法です。ただし、税務署のチェックや家族間の感情的な問題を避けるため、計画的に進める必要があります。
以下に、相続税節税対策としての養子縁組のメリット、デメリット、注意点をまとめておきましょう。
相続税節税における養子縁組の仕組み
相続税の計算において、法定相続人の数は以下の要素に影響します:
1.基礎控除額の増加
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
養子縁組で法定相続人を増やすと、この控除額が増加します。
2.税率の緩和
相続財産を養子に分散することで、各人が負担する税額を累進課税の影響を減らして抑えられます。
3.生命保険非課税枠の増加
生命保険の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
養子を含めることで非課税枠も増やせます。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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