前回は、不動産事業者による「買い上がり」と「買い下がり」とは何かについて説明しました。今回は、不動産の高値売却のために貫きたい「売主本位」の姿勢について見ていきます。

経験豊富な買主も多い不動産の売買

不動産の売却価格は売主と買主が交渉を重ねる中で決まります。交渉事を有利に進めるためには「売主本位」の姿勢を崩さないことが重要です。

 

前述したように、不動産売却における売主側の優位性とは「不動産は二つと同じものがない」というものです。それを認識した上で、売りたい不動産を相手にいかに魅力的に見せられるか、つまり「演出」により交渉を有利に進められれば、価格はもちろん、条件面でも有利な売買契約を結ぶことができます。

 

優位性を保つことで交渉が有利に進むのは、どんな交渉にもあてはまる単純な原理ですが、不動産売却において実践するのは簡単ではありません。買主の多くは不動産売買の交渉に慣れており、知識も豊富な専門家だからです。

不動産売買では専門家に主導権を握られがちだが・・・

一方、売主は不動産売買を初めて手がけることが多く、業界の慣例や関連する法規、手続きなどにも詳しくありません。専門家から「このくらいが妥当」「これが普通」といった言い方をされると反論が難しく、主導権を握られがちです。

 

しかしながら、可能な限りの高価格、好条件で売却するためには、交渉をリードしてあくまで「売主本位」で進めねばなりません。売主本位の立場をいかに保つかは不動産売買における最重要課題の一つです。知識や経験で上回る買主に対して、種々の工夫を凝らして優位な立場を確保することで、売買の結果はより満足度の高いものとなります。

 

取引に関係するプレイヤーたちとの交渉をうまく行うことで、「売主本位」の有利な交渉が可能になります。まずは不動産売却において、どのような参加者がいるのかを見ていきながら、各参加者との交渉時に気をつけるべきポイントを紹介していきます。

本連載は、2016年8月16日刊行の書籍『経営者のための事業用不動産「超高値」売却術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

経営者のための 事業用不動産「超高値」売却術

大澤 義幸

幻冬舎メディアコンサルティング

事業が悪化し経営苦に陥った中小企業経営者の切り札「不動産売却」。できるだけ高値で売却して多額の負債を返済したいと考えながらも、実際は買手の〝言い値″で手放せざるを得ないケースが多い。しかし、売れないと思っていた…

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