土地は誰のもの
今まで父親から不動産の名義など聞いたことがなかったため、この機会に調べるようにお勧めし、相談時間中に土地の構図と土地、建物の登記簿をネット取得しました。
すると自宅の土地、建物と裏山は父親名義ですが、宗教法人の建物と周辺の土地は宗教法人に贈与していることがわかりました。すでに父親の財産ではないということです。しかし、宗教法人の代表者である父親は亡くなっているため、実体のない法人が所有している形になっています。
法人の後継者もいないため、空き家として放置されている状況です。父親が管理できなくなっても困らなかったのは、固定資産税が課税されていなかったためでしょう。
実家と一緒に処分
実家も宗教法人の建物もすでに数年、空き家状態で、このまま放置してもいいことはありません。いらない不動産なので相続放棄できるか? ということも考えたと春男さんは言言いましたが、国が引き取らない不動産だと判断されるため、書類上の相続放棄ができたとしても相続人の管理責任は残ります。
相続放棄は現実的ではないので、処分できる方法を探すことをお勧めしました。最寄り駅から徒歩5分の立地はいいこと、市街化区域で建物は建てられることなどから売却できる見込みはありそうです。
問題は宗教法人の名義を個人に戻してもらう手続きですので、司法書士と連携して進めることになります。春男さんは不動産の名義が確認でき、方向性が見えてほっとしたと言われていました。実務的な手続きはお任せしたいということで少し肩の荷を下ろしていただけたようです。
できる対策は?
●できる対策
⇒父親の相続登記をし、不動産の名義替えをする。代表がいなくなった法人は閉鎖するなどして土地を個人に戻してもらう。使わない土地は活用できる人に売却する。
●注意ポイント
⇒不動産の名義が入り組んでいるので全体の確認が必要。父親が贈与した土地を戻してもらうための手続きが必要だが、手間がかかる。こうした課題を残さないように生前に父親が手続きしておけると、手間がかからずに手続きができたので残念。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
