課題が多い
義父は多くの土地を所有しているが、現状では土地のいずれかを売却しないと相続税が払えないため、不安があります。また、貸家8棟のうち、4棟は空き家のまま放置してあるという状況で、これも検討課題と言えます。
さらには今後、長男、次男ともに農業を継ぐ意思がないため、納税猶予も使って農地の維持をすることができないため、農地でない活用をしていく必要があります。
相続になる前に対策を
義父は多くの土地を所有していることから、相続になったら土地を売って相続税を払えばいいという考えがあるようですが、それでは相続税は減らすことができずに、土地が減ってしまう結果になります。
そうならないよう、相続になる前の今、父親が決断して対策をすることで、相続税を減らすことができ、後継者がいない農業を廃業して不動産賃貸業を専業にしていくことが、できる対策と言えます。畑を売却し、賃貸状況の見通しがよい立地に買い替える資産組み替えをすることで更地から賃貸住宅に変わり、時価の30%以下の評価に変わります。
仮に農地と空き家も含めた土地について資産組み替えをすると、相続税は1,000万円以下に下がり、70%の相続税を節税することができるのです。史子さんはすぐに家族で話し合って相続プランを作ってもらいたいということで委託を受けましたので、現在、具体的な売却の評価をしているところです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策
⇒市街化の農地を売却、賃貸住宅に買い替える。空き家の賃貸住宅は建て替えか、売却かを検討して、満室経営をする。農業後継者がいない場合は廃業し、不動産賃貸業を専業とする。
●注意ポイント
⇒父親の決断が必要になるため、なるべく早く対策を終えてしまわないと進まなくなるので、要注意。賃貸住宅は自宅と同じエリアではなく、賃貸状況がよい立地に持つ方が空室リスクを軽減できる。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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