俺たち農業を継ぐ気はないよ…からの「相続税を払うお金が1,200万円足りない!」賃貸業を営む兼業農家の義父が倒れて露呈した事態に〈45歳嫁〉が焦ったワケ【相続の専門家が解説】

俺たち農業を継ぐ気はないよ…からの「相続税を払うお金が1,200万円足りない!」賃貸業を営む兼業農家の義父が倒れて露呈した事態に〈45歳嫁〉が焦ったワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸業との兼業農家の長男と結婚した史子さん。義父が病気の宣告を受けてから農家を続けることが難しくなり、かつ義父の財産では相続税を支払うための預金が足りないことがわかりました。いまからできる対策はないのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、相続税が預金で払えない場合の対策について解説します。

兼業農家に嫁いだ史子さん

史子さん(45歳・女性)は兼業農家の長男と結婚しました。夫の両親と同居して、子どもたちと3世代同居をしています。両親は野菜農家で、義父が先代から相続した広い畑があり、その畑で育てた野菜をJAの販売所に納品して収入を得ています。

 

しかし、野菜の販売だけでは生活できないため、父親は40年ほど前から8軒の戸建て貸家を建てて賃料を得てきました。

義父が体調を崩した

義父は80歳になり、体調を崩して入院。手術して、回復はしたものの病名を告知されており、いつ再発するか分からない不安があります。ようやく退院できたものの、もう農作業はできない状況。これからどうすればいいかと史子さんから相談がありました。

 

長男である史子さんの夫はサラリーマンで、農業を継ぐつもりはないといいます。今年の野菜の出荷は義母と史子さんを中心に、近くに住む次男にも手伝ってもらってなんとか出荷できていますが、父親が農業をできないとなると継続が難しいといいます。

父親の財産と相続税

父親の財産を確認すると、所有する土地は全部が市街化区域のなかにあり、畑と言っても相続では宅地並みの評価となります。自宅が400坪、貸家250坪、畑2,500坪、田1,500坪あり、建物1,000万円と合わせた評価の合計は約2億円。

 

預金は約2,000万円ですから、財産の91%が不動産、土地が86%を占めています。相続人は母親と子供二人の3人ですから、基礎控除は4,800万円。相続税を計算すると3,200万円と試算されますので、すでに納税できる預金が足りないということが明白となりました。

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