調査官「追徴税です」→Aさんの意外すぎるリアクション
その後、調査官とともに銀行に行き貸金庫を開けてもらったところ、なんと貸金庫のなかに1,500万円もの現金が。どうやら飲食店が繁盛していたころ、夫がこっそりと貸金庫に現金を隠していたようでした。
この結果、相続税本税のほか、加算税と延滞税を含めた400万円ほどの追徴税を課されたAさん。
しかし、見つかった1,500万円から追徴税を賄えるうえ、残り1,000万円以上はすべて自分のものです。
Aさんは、相続税調査がなければ存在を知らなかった“思わぬ臨時収入”に大喜びしました。
「こんなお金があるなんて知らなかった……。お父さん、なんで教えてくれなかったのよ。お兄さんたち、見つけてくれて本当にありがとうねぇ……」
Aさんは、涙を流しながら調査官たちに感謝したのでした。
税務署が「貸金庫の現金」の存在を突き止めたワケ
税務署はいったいなぜ「貸金庫の現金」の存在を把握していたのでしょうか?
税務署は、相続があった場合、亡くなった人の銀行口座を10年ほど遡って調べることができます。そのため、毎月どれくらい出費があるかは、通帳の数字からおおむね把握できる、というわけです。
たとえばある月に生活費以外で(たとえば100万円単位での)多額の入出金があった場合、そのお金の出所や使い道、保管場所を探し当てます。
貸金庫だけじゃない…富裕層が“お金を隠す”驚きの場所
国税庁は毎年調査の概要を公表しており、令和5年度の報告で次のような隠し場所と現金の使い道が公表されていました。
【現金の隠し場所一覧】
- 天井裏
- 銀行の貸金庫
- 階段下収納
- 蔵に置かれた木箱
【不正資金の使い道一覧】
- 高級車両の購入
- 有価証券等への投資
- 暗号資産の購入
- 競馬や海外カジノ・ネットカジノ等のギャンブル
- 飲食等の交際費・遊興費
※出所:国税庁「令和5年度 査察の概要」
税理士の筆者も実際、自宅の金庫にかなりの大金が保管されていたケースに遭遇したことがあります。一般的に、自分の目の届くところに現金を置いておきたいという意識が働くようです。

