自信家で有名なビル・ゲイツですが、彼には「心配性」という意外な側面がありました。事業を長期的に成長させるには、楽観主義、悲観主義のどちらかに極端に傾くのではなく、その中間を取るバランス感覚が重要だと言われています。本記事では、モーガン・ハウセル氏の著書『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』(三笠書房)より一部を抜粋・編集し、「合理的楽観主義」について、ご紹介します。

長期的な成長に必要な「バランス感覚」

金融、キャリア、人間関係、その他どんな分野においても、短期的な問題をうまく切り抜けたうえで、長期的、継続的に成長していけるかどうかが鍵となる。

 

悲観主義者のように貯蓄し、楽観主義者のように投資する。
悲観主義者のように計画し、楽観主義者のように夢を抱く。

 

これらは相反するスキルに見えるかもしれない。実際そうだ。人は、楽観主義者か悲観主義者か、どちらか一方にしかなれないと直感的に思うものだ。

 

しかし本当のところ、楽観したほうがよい時と場所もあれば、悲観したほうがよい時と場所もある。楽観と悲観は共存できるし、また共存すべきである。ただ、これを理解するのは難しい。だが、このことは、長期にわたり成功している事例のほぼすべてにおいて見られるのだ。

 

たとえば企業なら、楽観主義者のように大きなリスクを背負って新製品を開発しつつも、悲観主義者のように短期的な負債を恐れ、安全のために多額の現金を常に持っておこうと考える。

 

サラリーマンなら、簡単には儲け話に飛びつかない。なぜなら、長い目で見ればお金よりはるかに価値のある自分の評判を落としかねないからだ。

 

投資も同じだ。私は前著『サイコロジー・オブ・マネー一生お金に困らない「富」のマインドセット』(児島修訳、ダイヤモンド社)で次のように書いた。

 

「大きなリターンを得ることよりも、経済的に破綻しないことを目指したい。破綻せずにやっていれば、いずれ最大のリターンを得られるだろう。なぜなら、長く継続しているうちに、やがて複利の力が驚くほど効果を発揮するからだ」

 

歴史から学べる大切なこと。それは、長い目で見ればたいていはうまくいくが、目先のことだけ見ているとたいていはうまくいかないということだ。

 

悲観と楽観を両立させ、相反するように見えるスキルをうまくコントロールする方法を学ぶには努力が必要だ。これができない人は、悲観しすぎてひねくれるか、楽観しすぎて破綻するかのどちらかだ。

 

著者:モーガン・ハウセル
翻訳:伊藤みさと

※本連載は、モーガン・ハウセル氏の著書『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方

SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方

モーガン・ハウセル (著), 伊藤 みさと (翻訳)

三笠書房

・世界43カ国で刊行! ・ニューヨーク・タイムズ ベストセラー! ・モーガン・ハウセル(全世界600万部『サイコロジー・オブ・マネー』著者)最新刊! ・「お金」「心理学」「歴史」の関係性を探求し続けてきた著者ならで…

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