(※写真はイメージです/PIXTA)

電気や水道といった生活インフラのように、私たちの日常生活に欠かせない「銀行」という存在。一般の会社員の方々も給料の振込や送金に、投資の窓口に…と、大いに活用しているのではないでしょうか。しかし実際には、一般の人たちが認識している以上に銀行が世の中に対して担っている役割は大きいものがあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

お金を預かってくれて金利もついて、海外への送金もカンタン!

手元に大量の現金を持っていると、盗難や火災の心配があるので、銀行が預金を預かってくれるのは助かります。金持ちでなくても、給料を現金で受け取って家に持ち帰るより、銀行振込の方が安心ですから。しかも、銀行は現金保管料を取る代わりに、わずかですが金利を支払ってくれるのです。

 

銀行振込も便利です。銀行振込がなければ、現金書留で送金しなければならないでしょうから、手間も時間もかかるでしょう。海外に送金するとなると、ドルをどこかで買ってきて、それを国際郵便で送ることになります。これは大変ですね。

「お金を借りたい人」「お金を貸したい人」をマッチング

銀行の最も主な仕事は、預金を集めて貸出をすることです。預金者に低い金利を払い、借り手から高い金利を受け取ることでコストをまかない、利益を得ているのです。

 

銀行がなかったら、金を貸したい人(一時的に資金に余裕があり、これを現金で持っていたくない給料日のサラリーマン等々)と金を借りたい企業等が出会うことは容易ではありません。

 

人々が広場に集まって「誰が誰に貸すのか」を相談するのは大変ですが、なんといっても貸し手には「借り手は借金を返せるのだろうか」という不安がありますから、商談が成立するのは容易ではないでしょう。

 

その点、銀行は「借り手が借金を返せそうか否かを判断するプロ」ですから、銀行が存在することで商談が成立する可能性は大いに高まるでしょう。

巨大企業への「巨額の融資」を実現

巨大企業が100億円借りたいという場合、100万人のサラリーマンから1万円ずつ借りるのは大変です。契約書を作るだけでも大変な手間ですし、個々のサラリーマンが借り手の返済能力を調べるのも大変です。

 

しかし、銀行が100万人のサラリーマンから預金を集めて巨大企業に貸し出しを行えば、返済能力の調査も契約書の作成も一度で済みますから効率的です。

企業「10年たったら返します」 銀行「いいですよ!」

個々のサラリーマンは、給料日には資金に余裕がありますが、次の給料日の前日にはそれほど余裕がありません。また、子どもの教育費用がかかるときには、本当に資金が底を突くかもしれません。そんなサラリーマン1人ひとりに、企業が「10年たったら返す」という条件で金を借りようとしても、貸してくれる人は見つからないでしょう。

 

しかし、大勢のサラリーマンから預金を預かっている銀行には、常に資金があります。サラリーマンごとに給料日が異なったり、教育資金が必要になる時期が異なったりするからです。

 

したがって、巨額の資金を長期間にわたって借りる大企業でも、銀行が間に入ることによって容易に資金が調達でき、大きなプロジェクトが実行できるわけです。

預金でも貸出でも活用される「大数の法則」って?

銀行がビジネスを行うに際し、大いに利用しているのが「大数の法則」です。「コインを2回投げても表が1回とは限らないが、コインを2万回投げると、おおむね1万回は表が出る」という統計学の話です。

 

「100万人の預金者がいると、預金を入金する人が毎日おおむね1万人、引き出す人も毎日おおむね1万人いるので、預金残高はそれほど増減しない」「100万社に金を貸すと、おおむね1万社は踏み倒すから、金を貸すときには1%だけ高い金利を要求しておけば安心だ」といったことでビジネスが成り立っているのです。

 

大数の法則を知らなければ、銀行は「預金者が一斉に預金を引き出すかもしれないから、預かった金を貸出に使うのは不安だ」「借り手が一斉に倒産したら銀行が大損して銀行も倒産してしまう。不安だから貸出はやめておこう」などと考えてしまうでしょうが、実際には預金を集めて貸出を行うことができているわけですね。

 

もっとも、どちらにも例外はあります。預金者が一斉に預金を引き出す可能性としては、「取り付け騒ぎ」があります。「あの銀行が倒産しそうだ」という噂が流れた場合に起きるのですが、それを恐れて貸出をしない、というわけにも行きません。そこで、取り付け騒ぎが起きたら日銀が現金輸送車で札束を持ってきてくれるということになっていて、銀行は安心して商売ができるわけです。

 

貸出については、多様な借り手に貸していれば大丈夫なのですが、バブル期には残念なことに「不動産購入資金」に貸出が偏っていたので、不動産価格の下落とともに銀行が苦境に陥ったわけですね。

金融は経済の血液、銀行は経済の心臓

金融は経済の血液、銀行は経済の心臓、といわれることがあります。普段はありがたみを感じないけれども機能が停止するとありがたみを痛感する、ということでしょう。

 

製造業で働く筆者の友人が「銀行は物を作らず、右の金を左に移しているだけで、世の中に貢献していない」といっていましたが、バブル崩壊後に銀行の貸し渋りに遭って考えを改めたようです。銀行に勤めていた筆者としては、なんともいえない気分でしたが。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録