10倍株を狙う意味はあるのか
木原:株式投資の界隈ではテンバガーというキーワードが流行っていますが、僕は10倍株なんて、到底狙える気がしません。どんな銘柄に対しても、徹底的に調べ尽くして投資をしている人たちがいるわけで、それでも100%勝つことはできないのに、自分の持ち株が都合よく10倍になるなんてちょっと考えられないんです。
もちろん、自分の持ち株が10倍になる可能性がないとは思わないけれど。どの銘柄にだって可能性はあるわけですから。
エミン:でも木原さんは、2~3倍にはなることを確信して投資しているんでしょう? そういう銘柄の中から、テンバガーは生まれるんです。
要は10倍を狙って10銘柄に投資して、そのうち1銘柄でも10倍になれば、たとえ残りの9銘柄の株価が動かなくても資産のパフォーマンスは90%になるわけ。
テンバガーというと難しく聞こえるかもしれないけれど、新興株には定期的に大相場が来るから、そういう局面で下手なことさえしなければ、持ち株が全部2倍3倍になることもありますし、含み益を利確しないで我慢すれば10倍株になるのです。新興株は上がらないときはさっぱりだけど、何年かに一度、大きく吹き上がりますから。
木原:確かに、それはありますね。そういうチャンスが来るまでは、下がりにくい割安優良銘柄を買って放っておけばいいんでしょうね。僕ら個人投資家は毎年利益のノルマがあるわけではないので、何年かかけてそれなりの利益が出ればいい。ポーカーだって、いいハンドが来るまでは延々と我慢を続けないといけませんから。
エミン:実際のところ、10倍株を見つけるのは木原さんが思うほど難しくはないですよ。本当に難しいのは、それを10倍になるまで握り続けることです。私に言わせると、プロの投資家とアマチュアの何が違うかというと、勝ったときの利益の取り方です。
プロとアマチュアの結果を大きく分けるのは、勝ったときにどれだけ取れるかというインパクトなんです。個人投資家は、上がっている銘柄を握り続けることができない人がとても多い。
木原:ポーカーでも、ときには大きくリスクを取って大きいポットを取りに行く必要があります。小さな勝ちを積み重ねるというスタイルもあるけれど、本当にそれだけだと相手に大きなプレッシャーをかけられると簡単にやられてしまいます。
エミン:その通り。株で言う大きいポットが、テンバガーなんです。ある程度のお金を稼ぎたいんだったら、大きいトレンドに乗らなきゃいけない。
勝てない投資家は利益確定が早すぎて、大きいポットを取れないんですよ。せっかくいいトレンドをつかまえていい投資ができたのに、利益が大きく育つまで持ち続けることができないんです。
木原:微益で手放してしまった後に、株価が大きく伸びるというのは僕も経験したことがあります。その悔しさたるや、半端じゃないですね。


