政府の無策により「高齢化率」が24年で2倍になった日本
1980年代まで日本は先進国のなかでも高齢化率が低い国でした。それが1990年代には中位になり、2005年には最も高い水準に達します。この日本の高齢化は先進諸国と比較するとかなりのスピードで進んできました。
ただし日本は、2020年までは総務省「国勢調査」、2025年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果による高齢化率が7%を超えてから14%に達するまでの所要年数で比較してみると、フランスが115年、スウェーデンが85年、アメリカが72年、比較的短いイギリスが46年、ドイツが40年であるのに対し、日本は1970年に7%を超えてから24年後の1994年に14%に達しています。統計を見れば日本で急速に高齢化が進むことは容易に予想できたはずですが、政府は効果的な対策をすることができないまま、高齢化率は間もなく30%に達しようとしています。
高齢者の数が増えれば、介護を必要とする人の数も増加します。「令和5年版高齢社会白書(全体版)」を見ると、介護保険制度において要介護、または要支援の認定を受けた人は、2020年度で668万9,000人となっており、2010年度と比較すると、178万1,000人も増加しました。

[図表3]主要国における高齢化率が7%から14%へ要した期間 (注)1950年以前はUN, The Aging of Population and Its Economic and Social Implications (Population Studies, No.26,1956)及びDemographic Yearbook, 1950年以降はUN, World Population Prospects : The 2019 Revision(中位推計)による。ただし、日本は総務省統計局「国勢調査」「人口推計」による。1950年以前は既知年次のデータを基に補間推計したものによる。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2023年)改訂版
さらに年齢別に見ると、65~74歳と75歳以上とでは要支援、要介護の認定を受けた人の割合が大きく異なります。
65~74歳では要支援が1.4%、要介護が3%であるのに対し、75歳以上では要支援が8.9%、要介護が23.4%です。この数字からは、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が目立って増加することが分かります。国民の5人に1人が75歳以上となる2025年には、要支援・要介護の認定を受ける人は約815万人に達するとの経済産業省の試算もあります。