介護従事者は増えているが…高齢化率30%時代の日本で「介護人材」の不足が解決できない2つの理由

介護従事者は増えているが…高齢化率30%時代の日本で「介護人材」の不足が解決できない2つの理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

「介護」の現場は、深刻な人手不足に悩まされています。そんななか、日本全体の人口は減少し、高齢者の割合が増えています。このままでは、介護の担い手が減少するにもかかわらず、介護を必要とする人は増加するという問題が、より深刻なものとなるでしょう。本記事では、社団医療法人啓愛会の理事長である井筒岳氏の著書『グローバル循環型 外国人介護人材活用』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、「介護業界」の現状と人材確保の必要性について解説します。

慢性的な人材不足で無理を重ねる介護の現場

要介護者が増えることが予測されているなか、介護の現場ではすでに人手不足が深刻な状態になっています。

 

介護保険制度が施行された2000年以降、介護職員の数自体は年々増え続けてきました。2000年には約55万人だった介護従事者は、2023年にはおよそ4倍となる216万人に達しています。しかしこれだけ増えているにもかかわらず、需要とは釣り合っていないため、人手不足が解消されるめどは立っていません。

 

第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
[図表4]第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 注1)2019年度(令和元年度)の介護職員数約211万人は、「令和元年介護サービス施設・事業所調査」による。

注2)介護職員の必要数(約233万人・243万人・280万人)については、足下の介護職員数を約211万人として、市町村により第8期介護保険事業計画に位置付けられたサービス見込み量(総合事業を含む)に基づく都道府県による推計値を集計したもの。

注3)介護職員数には、総合事業のうち従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員数を含む。

注4)2018年度(平成30年度)分から、介護職員数を調査している「介護サービス施設・事業所調査」の集計方法に変更があった。このため、同調査の変更前の結果に基づき必要数を算出している第7期計画と、変更後の結果に基づき必要数を算出している第8期計画との比較はできない。

出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(令和3年7月9日)」別紙1

 

厚生労働省が発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、団塊世代全員が後期高齢者となる2025年度には約243万人の介護職員が必要になるとされています。2019年度の時点で介護職員として働いていた人数を基準とすると、約32万人増やさなければならないのですが、現状では難しいといわざるを得ません。

 

さらに2040年度の必要数は約280万人とされており、2019年度の人数から約69万人増やさなければなりませんが、今のペースでは非常に厳しい数字です。

 

次ページ介護人材の不足に拍車をかける「もうひとつの要因」

※本連載は、井筒岳氏の著書『グローバル循環型 外国人介護人材活用』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

グローバル循環型 外国人介護人材活用

グローバル循環型 外国人介護人材活用

井筒 岳

幻冬舎

世界の人材を日本へ、日本の介護を世界へ―― 日本の介護人材不足を救う外国人人材の育成と 外国の医療介護レベルを向上させる日本の介護ノウハウの伝授で好循環を生み出せ 超高齢社会に突入して久しく、介護を必要とす…

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