介護従事者は増えているが…高齢化率30%時代の日本で「介護人材」の不足が解決できない2つの理由

介護従事者は増えているが…高齢化率30%時代の日本で「介護人材」の不足が解決できない2つの理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

「介護」の現場は、深刻な人手不足に悩まされています。そんななか、日本全体の人口は減少し、高齢者の割合が増えています。このままでは、介護の担い手が減少するにもかかわらず、介護を必要とする人は増加するという問題が、より深刻なものとなるでしょう。本記事では、社団医療法人啓愛会の理事長である井筒岳氏の著書『グローバル循環型 外国人介護人材活用』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、「介護業界」の現状と人材確保の必要性について解説します。

超高齢社会 増え続ける要介護者

2008年を境に日本の人口は減少の一途をたどり、高齢者の割合は増え続けています。2025年には団塊世代と呼ばれる1947~1949年生まれの約806万人が後期高齢者となる見込みで、日本はこれまでに経験したことのないような局面に突入します。

 

内閣府の「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によれば、2025年には75歳以上の後期高齢者人口が2,155万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,498万人に達すると推計されています。これは、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上ということを意味し、世界の国々と比較しても高い水準です。

 

65歳以上の高齢者の割合が人口の7%を超えた社会を高齢化社会、人口の14%を超えた社会を高齢社会と呼びます。高齢社会になると、医療・福祉業界の人材不足をはじめ社会保障制度の財政不足や経済活動の鈍化が問題になります。

 

高齢化の推移と将来推計
[図表1]高齢化の推移と将来推計 資料:棒グラフと実線の高齢化率については、2020年までは総務省「国勢調査」(2015年及び2020年は不詳補完値による。)、2022年は総務省「人口推計」(令和4年10月1日現在〈確定値〉)、2025年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

(注1)2015年及び2020年の年齢階級別人口は不詳補完値によるため、年齢不詳は存在しない。2022年の年齢階級別人口は、総務省統計局「令和2年国勢調査」(不詳補完値)の人口に基づいて算出されていることから、年齢不詳は存在しない。2025年以降の年齢階級別人口は、総務省統計局「令和2年国勢調査 参考表:不詳補完結果」による年齢不詳をあん分した人口に基づいて算出されていることから、年齢不詳は存在しない。なお、2010年の高齢化率の算出には分母から年齢不詳を除いている。

(注2)将来人口推計とは、基準時点までに得られた人口学的データに基づき、それまでの傾向、趨勢を将来に向けて投影するものである。基準時点以降の構造的な変化等により、推計以降に得られる実績や新たな将来推計との間には乖離が生じうるものであり、将来推計人口はこのような実績等を踏まえて定期的に見直すこととしている。

(注3)四捨五入の関係で、足し合わせても100.0%にならない場合がある。

出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」

 

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※本連載は、井筒岳氏の著書『グローバル循環型 外国人介護人材活用』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

グローバル循環型 外国人介護人材活用

グローバル循環型 外国人介護人材活用

井筒 岳

幻冬舎

世界の人材を日本へ、日本の介護を世界へ―― 日本の介護人材不足を救う外国人人材の育成と 外国の医療介護レベルを向上させる日本の介護ノウハウの伝授で好循環を生み出せ 超高齢社会に突入して久しく、介護を必要とす…

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