1月の注目点…「米金利上昇」は続くのか?
1月は、24日に日銀の金融政策決定会合、そして29日に米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されています。ここ数年、日銀関連のイベントに対して為替市場は大きく反応する傾向が続いていることから、この1月の日銀会合を受けた為替相場の反応には要注意です。
ただし、金利差を通じた米ドル/円への影響という観点では、FOMCなどを受けて米金利上昇が続くか否かが本質的な焦点になるとみられます。
念のため確認すると、仮に日銀が1月利上げを見送っても、米金利が低下に転じるなら米ドル高・円安は限られるのではないでしょうか。反対に、日銀が1月に利上げを行っても、米金利の上昇が続くなら米ドル高・円安がさらに広がる可能性に注意する必要がありそうです。
12月の米国株安の原因は「米金利上昇の嫌気」か
では、米ドル/円の行方を左右する可能性のある米金利上昇は今後も続くのでしょうか。それを考えるうえで、米国株の動向をみてみます。
12月から、米国株の下落が目立ちます。特にNYダウは、約50年ぶりに10営業日連続の下落となりました。ところで、2023年8~10月や2024年3~4月にあった比較的大きな米国株反落は、米10年債利回りが4.5%を大きく超える局面で起こったものです。この米金利上昇は、米国株安が広がるなかで終了しました(図表5参照)。
筆者は、12月の株安と米金利上昇は、この2023年8~10月や2024年3~4月に見られたものと同じように、「米金利上昇を嫌気した株安」という面が大きかったとみています。もしそうであれば、米金利上昇は株安の拡大のなかで終わるでしょう。
したがって、米国株安を見ながら「米金利上昇=米ドル高・円安」も転換に向かう可能性が高いのではないでしょうか。
以上を踏まえ、1月の米ドル/円は、2024年の高値の161円更新には至らず、「二番天井」を確認するとの考え方から、「155~161円」を予想レンジとします。
今週は156~158円の「レンジ・ブレーク」に注目
米ドル/円は、過去2週間、156~158円のレンジを中心とした方向感の乏しい展開が続きました。このため、このレンジを抜けた方向に大きく動き出す可能性があるでしょう。
今週は10日に、為替相場が大きく動くきっかけになることの多い米雇用統計の発表が予定されていることから、これを受けてレンジを抜けるかどうかが注目されます。
仮に上方向にレンジを抜けた場合は、2024年7月に記録した161.9円の高値トライに向かうと考えられます。
ただその場合は、日本の通貨当局による米ドル売り介入への警戒感が高まることにより、米ドル買いにも自制が働きそうです。レンジを下方向に抜けるきっかけとしては米国株安などが注目されるのではないでしょうか。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は155~160円と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
注目のセミナー情報
【海外活用】1月22日(水)開催
「世界の高利回り不動産」セミナー
「世界のビザ」最新情報も徹底解説
【資産運用】1月22日(水)開催
《2025年最新・資産形成術》
「新NISA・住宅/不動産・保険」を賢く活用
超実践的ノウハウ
【事業投資】1月23日(木)開催
決算直前の節税対策!
エコカリファンド
《建築資材の仮囲い》を使用した税効果について税理士が解説
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
『「2024年 歴史的円安」の真実 日本経済を翻弄した「投機円売りバブル」とその破裂』