米金利上昇は“限界”か…今週の米ドル/円は「156~158円」の〈レンジ・ブレーク〉に注目【国際金融アナリストが解説】

1月7日~1月13日の「FX投資戦略」ポイント

米金利上昇は“限界”か…今週の米ドル/円は「156~158円」の〈レンジ・ブレーク〉に注目【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

12月の米ドル/円は、149円台で取引が始まり一時158円台まで上昇するなど、最大で約10円の「米ドル高・円安」となりました。先月は日銀会合などもあったものの、この原因は日本の利上げ期待後退よりも「米金利上昇」にあると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今週の米ドル/円の展開について、本記事で詳しくみていきましょう。

1月の注目点…「米金利上昇」は続くのか?

1月は、24日に日銀の金融政策決定会合、そして29日に米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されています。ここ数年、日銀関連のイベントに対して為替市場は大きく反応する傾向が続いていることから、この1月の日銀会合を受けた為替相場の反応には要注意です。

 

ただし、金利差を通じた米ドル/円への影響という観点では、FOMCなどを受けて米金利上昇が続くか否かが本質的な焦点になるとみられます。

 

念のため確認すると、仮に日銀が1月利上げを見送っても、米金利が低下に転じるなら米ドル高・円安は限られるのではないでしょうか。反対に、日銀が1月に利上げを行っても、米金利の上昇が続くなら米ドル高・円安がさらに広がる可能性に注意する必要がありそうです。

 

12月の米国株安の原因は「米金利上昇の嫌気」か

では、米ドル/円の行方を左右する可能性のある米金利上昇は今後も続くのでしょうか。それを考えるうえで、米国株の動向をみてみます。

 

12月から、米国株の下落が目立ちます。特にNYダウは、約50年ぶりに10営業日連続の下落となりました。ところで、2023年8~10月や2024年3~4月にあった比較的大きな米国株反落は、米10年債利回りが4.5%を大きく超える局面で起こったものです。この米金利上昇は、米国株安が広がるなかで終了しました(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]NYダウと米10年債利回りの関係(2023年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

筆者は、12月の株安と米金利上昇は、この2023年8~10月や2024年3~4月に見られたものと同じように、「米金利上昇を嫌気した株安」という面が大きかったとみています。もしそうであれば、米金利上昇は株安の拡大のなかで終わるでしょう。

 

したがって、米国株安を見ながら「米金利上昇=米ドル高・円安」も転換に向かう可能性が高いのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、1月の米ドル/円は、2024年の高値の161円更新には至らず、「二番天井」を確認するとの考え方から、「155~161円」を予想レンジとします。

今週は156~158円の「レンジ・ブレーク」に注目

米ドル/円は、過去2週間、156~158円のレンジを中心とした方向感の乏しい展開が続きました。このため、このレンジを抜けた方向に大きく動き出す可能性があるでしょう。

 

今週は10日に、為替相場が大きく動くきっかけになることの多い米雇用統計の発表が予定されていることから、これを受けてレンジを抜けるかどうかが注目されます。

 

仮に上方向にレンジを抜けた場合は、2024年7月に記録した161.9円の高値トライに向かうと考えられます。

 

ただその場合は、日本の通貨当局による米ドル売り介入への警戒感が高まることにより、米ドル買いにも自制が働きそうです。レンジを下方向に抜けるきっかけとしては米国株安などが注目されるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は155~160円と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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