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個人の自由と社会の規制。そのバランスは経済活動にも深く関わります。賭博や売春といった行為は、個人の選択として尊重されるべきなのでしょうか。それとも、公共の利益の観点から制限されるべきなのでしょうか。19世紀を代表するイギリスの政治哲学者であり経済思想家のジョン・スチュアート・ミルは、この問いに対して著書『自由論』で「自由」の原理を提示しました。本記事では、書籍『すらすら読める新訳 自由論』(著:ジョン・スチュアート・ミル 、その他:成田悠輔 、翻訳:芝瑞紀 、出版社:サンマーク出版)より、ミルが説く「自由」の原理をもとに自由と規制の境界線について書かれた箇所を、一部を抜粋・編集してお届けします。

大量消費と販売の倫理……どこに線を引くべきか

売買される商品のほとんどは、大量に消費される可能性がある。そして売り手は、大量消費を煽って利益を増やしている。しかし、こうした現状を理由に禁酒法のような法律を制定することはできない。

 

たしかに売り手は、大量に酒を飲む人のおかげで金を稼いでいるが、彼らが酒を売ることは適度に飲む人にとってもありがたいことだからだ。

 

ただし、客に大量飲酒を促して利益を得るのはいいことではない。そのことを理由に、国がなんらかの制限を設け、大量飲酒に歯止めをかけるのは正当な行為だ。だが、こうした正当性がない場合、国家が制限を設けることは自由の侵害にあたるのだ。

 

 

ジョン・スチュアート・ミル

政治哲学者

経済思想家

 

※本記事は、約165年前に出版された19世紀を代表するイギリスの政治哲学者、経済思想家ジョン・スチュアート・ミルの「自由論」を基にした新訳書籍『すらすら読める新訳 自由論』(著:ジョン・スチュアート・ミル、その他:成田悠輔、翻訳:芝瑞紀、出版社:サンマーク出版)からの抜粋です。

 

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すらすら読める新訳 自由論

すらすら読める新訳 自由論

著者:ジョン・スチュアート・ミル まえがき:成田悠輔 訳者:芝 瑞紀

サンマーク出版

「自由は狂気と表裏一体だ」成田悠輔氏が「まえがき」を執筆。 165年を経た現代SNS社会にも通用する必読の名著! 「この本は『社会は個人に対し、どのような権力を、どの程度まで行使できるか?』について書いたものだ」と…

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