「遺産4600万円」を遺すも〈72歳夫〉には先妻との子供が…「代償金250万円」を払わないとダメですか?要介護5の夫をずっと介護してきた〈62歳女性〉が無力感を覚えたワケ【相続の専門家が解説】

「遺産4600万円」を遺すも〈72歳夫〉には先妻との子供が…「代償金250万円」を払わないとダメですか?要介護5の夫をずっと介護してきた〈62歳女性〉が無力感を覚えたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事もやめ、長らく自宅で一人で夫の介護に専念してきた好子さん(60代女性)。夫が亡くなり、司法書士に相談してみると、遺産は息子と、40年間一度も会っていない前妻との娘とで3分割するのが法律上の基本だと言って、背景を聞いてもらえず……。本記事では相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、好子さんの取れる相続対策について詳しく解説します。

介護してきた夫が突然亡くなって

しばらく自宅で介護をしてきた夫が突然亡くなってしまい、息子さんと二人で相談に来られた好子さん(62歳女性)。

 

好子さんの夫は、65歳のとき、仕事中に倒れて救急搬送。命はとりとめたものの半身不随となってしまい、要介護5に。以降、好子さんが仕事も辞めて、自宅で介護をしてきたといいます。

 

夫は自宅療養になってからも、病院で定期健診を受けていました。今年の定期検査の結果は良好で、心配はないと太鼓判を押してもらったばかりでしたが、なんと検査の翌朝、突然亡くなってしまったのです。

 

その後、司法書士に依頼はしたものの、不安が生じ、今回、好子さんと息子さんのお2人で相談に来られました。

10歳年上の夫とは再婚で、先妻との間に娘がいる

好子さんと夫は、今からおよそ40年前に結婚しています。好子さんは初婚で一人息子に恵まれ、10歳年上の夫は再婚で、先妻との間にもう一人娘がいるとのことです。

 

当時上場企業に勤務していた夫は、転勤先の同僚と結婚し娘が生まれたものの、2年で協議離婚したそうです。

 

先妻との間の娘は現在40代になりますが、夫は離婚してからの40年間、全く会っていないといいます。当然ながら、好子さんや息子も先妻の子とは会ったこともなく、どこに住んでいるかもわからない状態です。

司法書士に相談していた内容

好子さんは昨年知人の紹介で、夫のことを司法書士に相談していました。介護が長くなり、70代になった夫に認知症の症状も出てきたため、これからのことが不安になり、何をすればいいのかアドバイスをもらいたかったそうです。先妻の子がいることは司法書士にも説明済です。

 

息子さんは、家から通えない距離にある大学に入ったことをきっかけに実家から離れて暮らしており、社会人になって結婚した現在では、職場の近くにマンションを買っていますので、父親の介護に協力できる余裕はなかったようです。よって、日々の介護は好子さんがひとりで引き受けており、夫自身も、好子さんに負担をかけていることは承知の上で「自分の財産はすべて好子さんに渡す」と言ってくれていたそうです。

 

そのような好子さんの貢献度が明らかな状況で、司法書士も、自宅のおしどり贈与や遺言書などの方法をサポートしてくれるのかと期待していたものの、話がなかなか進まらず、今回弊社に相談に来られたようです。

 

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