法人化後は、個人的な教育ローンの借入もスムーズに
前回の続きです。銀行は「法人化」をスムーズに了承してくれました。さらに、「銀行としては節税という言葉は使わないけれど、所得の分散という目的で、お客様に法人化をすすめることがあります」とのこと。所有物件を担保にした融資は、抵当権設定費用などはかからずに、「債務引き受け契約」という書面上のやり取りだけで移管が済んでしまいました。このための費用は5万4644円でした。
このように、法人化はメリットが大きいです。銀行の目線では、所得を分散することで税率を下げ、総合的にキャッシュを残して体力を蓄えるということを期待されます。
こうして法人化した後には、念願の教育ローンも無事にその銀行から借りることができました。教育ローンは低金利の上、子どもが在学中は、毎月金利のみの支払いで済む点が大助かりです。低金利のものはどんどん借りて、残った現金は、不動産経営の運転資金として確保しておくのも一つのスタイルです。
物件を取得して数年が経ち、利益が順調に伸びてくる頃、法人化で一番大きなメリットをもたらすのは役員報酬です。これはいわゆる自分や家族の給与です。これによって何十万円、何百万円の人件費を経費に算入することができます。
もちろん、給与を支払う際には源泉所得税を収めなければなりません。それでも、個人事業主のまま課税所得額が膨らんで、高率の税金を支払うよりは、法人から役員報酬として分散した給与を受け取る方が、節税につながります。
また、会社で得た利益を、オーナーといえど勝手に使い込むわけにはいきませんので、きちんと給与として引き出しておかないと、申告上は会社からの借金が増えるばかりになってしまいます。
「今後の計画」によって法人化するタイミングは変わる
多くの税理士さんをはじめとする専門家の方々は、「法人化のタイミングは、この先自分がどうなりたいかで変わる」と言います。
・サラリーマンの副業として続けるのか、リタイヤを考えているのか
・どのくらいの規模の物件を持っているのか。
・物件を取得したのはいつなのか
・キャッシュフローは現状いくらで、将来いくらくらいを目標にしているのか
・この先何年、不動産事業を続けるのか
このようなことを明確にして、専門家に相談するのがベストです。
私は不動産投資を始めるときに、「法人設立」などという発想はまったく持っていなかったので、必然的に個人から始めるしかありませんでした。そして見よう見まねで確定申告のやり方を覚え、慣れないパソコンに青色申告ソフトをダウンロードし、会社の休みを取って平日に青色申告会に並んでアドバイスを受けながら、何とか申告をしてきました。いろいろとつまずいて時間もかかりましたし、間違いがないかどうか、不安に苛まれながら、申告の時期を過ごしてきました。
今はすべての不動産を、利益の分散を図るために1物件1法人で所有し、不動産関係に強い税理士事務所に会計を一任しています。多少の費用はかかりますが、今生み出している利益とキャッシュフローと、申告に消費する時間・労力を考えれば、税理士にしっかり依頼することをおすすめします。