アパートを売却した結果、残ったのはわずか55万円・・・
所有不動産を売却するとき、ようやく投資としての最終利益が確定します。これを業界用語で「出口」と言い、上手く利益を残すように計画することを、「出口戦略」と呼びます。
基本的に私は、物件の売却を考えていません。一度購入した物件は、できる限り維持をして、家賃収入で事業運営していきたいからです。
ろくに知識もない状態で初めて所有した新築木造アパートは、空室になったとたんにキャッシュフローが無くなり、さらにオーバーローンで購入したために、負債がなかなか減らないという悪循環に苦しみました。「儲からない物件を借金丸抱えで持っている」ということになり、金融機関からの私への評価はマイナスだったのです。ですから、やむを得ず「残債をクリアにする」という目的で売却しました。
木造アパートを5年間所有して、売却した結果、わずか55万円だけが手元に残りました。それでも私の売却の目的が「残債を無くす」ことでしたから、これで良しとしています。このように、万が一売却を考えなければならなくなった時には、残債や諸経費、自己資金、インカムゲインも合わせ、総合的に売価を決定しなければなりません。
手数料や税金まで考慮した「出口戦略」が必要
個人で所有している物件を5年以内に売却した場合、短期譲渡税がかかります。利益の39%が税金になります、この場合には残債よりも「簿価」の方が大事で、税務的には「減価償却を行った後の残存簿価」と、実際の売価との差分が「利益」と見られてしまいます。つまり1000万円の利益が出たら390万円が税金になります。この分も見越して売価の設定をしなければならなくなります。
収益不動産は「安く買って高く売る」という単純な商売ではなく、そこに手数料や自己資金、家賃収入、税金まで、さまざまな項目を捉えながら売買を行っていかなければならないのです。
ですから、売却によってよほど大きな利益を狙う目的がない限り、通常はできるだけ長く所有して、継続的なインカムゲインを得ていく方が良いと思っています。