さまざまなサービスを提供し始めたプロパンガス会社
経営改善のために、まず私が最初にチェックするのは、ガス設備です。都市ガスと、プロパンガス(LPガス)のどちらかを確認するところからスタートします。
都市ガスを採用している場合には、できるだけプロパンガスへの切替をします。すでにプロパンガスを使用していれば、別のプロパンガス会社への切替を検討します。
都市ガスはこれまで、公共料金でまかなわれるものとして提供されていました。そこに一般企業のプロパンガス会社が参入して、いろいろなサービスをつけて顧客獲得をしています。
入居者目線では、まず一般的な印象として「都市ガスの方が安い」という定説があります。だから入居者さんも「ガスは都市ガスに限る」と指定して部屋探しをする人も少なくありません。それを感じている管理会社も、都市ガスの方が客付けしやすいと思っているセールスさんが少なくありません。
でも、日本企業を舐めてはいけません。単に価格が安いだけの都市ガスに対し、黙って指をくわえて見ているだけのはずがないのです。
2016年からは電力市場の完全自由化が決定しており、さらに都市ガスも2017年に全面自由化が予定されていますので、そうなるとますますエネルギー業界全体で熾烈な競争が予測されます。
30室なら300万~450万円かかる修繕費がタダに!?
例えば、ガス設備の中で最も修繕リスクが高いのが、給湯器の交換です。大体10年〜15年くらいで交換の時期がやってきます。世帯の大きさによっても異なりますが、その費用は10万円〜15万円程度。これが徐々に部屋数分だけかかってきますので、30室ある場合には300万円〜450万円を将来の修繕費にあて込んでおかなければなりません。
それがなんと、無料にできる可能性があります。
新規にプロパンガス会社と契約すると、ガス会社負担にて、設備を交換できるサービスが付帯することが多いです。プロパンガス会社としては、継続的に顧客を確保することができれば、給湯器を無料で提供することは、それほどハードルが高くないのです。
プロパンガス会社は世の中に2万社以上あります。その中でしのぎを削って顧客獲得しなければならないので、ガス会社さんも切り替えにはかなり積極的です。
ちなみに都市ガスは、万が一の災害時には供給が完全にストップしてしまいます。
ですが、プロパンガスは単独の設備を敷地内に有しているため、早く回復できる可能性があります。震災に対しての意識が高まっていますので、プロパンガスということが、実は有利なセールストークにもなるのです。